韓国政府、北朝鮮住民2人を追放 海上で16人殺害
【ソウル=細川幸太郎】韓国政府は7日、南北軍事境界線を越えて韓国側海域に入り、2日に拿捕(だほ)された漁船に乗っていた北朝鮮住民2人を、北朝鮮側に追放したと発表した。2人は海上で同僚の乗組員16人を殺害し、逃走していたという。「凶悪犯罪者は国際法上の難民として認められない」(韓国統一省)との判断から、追放したと説明している。
統一省によると、2人は20代の男性。ロシア海域でイカ漁をするために8月中旬に北朝鮮東部の金策港を出港した。乗組員同士のトラブルが起き、2人を含む3人が残りの乗組員16人を次々と殺害して海に遺棄したという。3人のうち1人は、北朝鮮側に帰港した際に北朝鮮当局に逮捕され、韓国側に逃げてきた残り2人を韓国軍が拿捕した。
7日午後に南北の軍事境界線上の板門店(パンムンジョム)で2人を北朝鮮側に追放した。16人の殺害の動機など不可解な部分も多いが、韓国側は北朝鮮側が追加で調査すべきだとの見解を示している。聯合ニュースによると、韓国側が北朝鮮住民を追放したのは初めてという。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。