英首相「数十年で最重要の選挙」 選挙戦本格スタート
【ロンドン=中島裕介】12月12日の英議会下院の総選挙に向けて、各党の選挙戦が本格的にスタートした。ジョンソン英首相は6日夜(日本時間7日未明)、英中部バーミンガムで開いた選挙活動の最初の集会で演説し、「この数十年で国が直面する最も重要な選挙になる」と支持を訴えた。早期の総選挙は避けたかったとの考えを示した一方で、自身の公約の欧州連合(EU)離脱を実現するために「他に選択肢はない。我々は新しい議会が必要だ」と語った。
総選挙では定数650のうち、与党・保守党が単独過半数を確保できるかが焦点となる。ジョンソン氏は選挙で勝って、EUと合意済みの新離脱協定案の議会承認を急ぎ、1月末までのEU離脱を目指す。議長・副議長などを除いた実質的な過半数である約320議席には20議席以上の上積みが必要だ。
バーミンガムは最大野党・労働党が強い地域だがEU離脱支持者も多く、保守党が切り崩しを狙う重点エリアだ。ジョンソン氏は産業国有化など社会主義色の強い労働党の経済政策を念頭に、「労働党の政策は経済に破滅をもたらすためのものだ」と強く非難した。
一方、労働党のコービン党首は英中部テルフォードで演説し、「この選挙は国を変える一世一代のチャンスだ」と強調した。同時に「富裕層への課税で医療制度や教育を再建する」と訴えた。
直近の政党支持率では保守党が優位に立っている。ただ前回の2017年の選挙では終盤で労働党が急伸して、保守党は単独過半数を失った苦い経験がある。6日には裁判を巡る不正行為の疑いでウェールズ担当の閣僚が辞任して政権に批判が集まった。1カ月以上の選挙戦の間、今の情勢がそのまま続くとは限らない。