日韓軍事協定の維持要請 米高官、韓国外相に
【ソウル=恩地洋介】訪韓中のスティルウェル米国務次官補は6日、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相らと会談し、22日に失効する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の維持を促した。米国は協定破棄で日米韓の安全保障連携が弱まる事態を懸念している。韓国政府内には、日本が厳格化した輸出管理措置の撤回を条件にした再考論がある。
スティルウェル氏は8月にGSOMIA破棄の決定を主導したとされる韓国大統領府の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長とも会談した。聯合ニュースによると、スティルウェル氏は韓国高官との一連の会談で「GSOMIAは米国だけでなく韓国国益の助けにもなる」と述べ、破棄を考え直すよう求めた。同協定は23日午前0時に効力を失う。
米国はかねて対立を深める日韓に対話を働きかけてきた。4日に安倍晋三首相と文在寅(ムン・ジェイン)大統領がバンコクで接触したことについてスティルウェル氏は6日、記者団に「勇気づけられる兆候だ」と語った。
米国の圧力を受け、韓国政府高官はGSOMIAの破棄見直しに相次いで言及している。鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は4日の国会答弁で「安全保障に役立つなら維持しなければならない」と強調。徐薫(ソ・フン)国家情報院長も「協定を元に戻す可能性は排除できない」と述べた。ただ、日本の輸出管理措置の撤回が条件とする立場は崩していない。
6日付の韓国紙・東亜日報が掲載した世論調査によると、文政権支持層の83%がGSOMIA破棄を支持している。韓国側は破棄決定の理由を「日本の輸出管理措置で信頼が損なわれた」としており、日本の譲歩なしには身動きが取れなくなっている。
6日のスティルウェル氏と韓国側との会談では、在韓米軍駐留経費の負担増も議題に上った。スティルウェル氏が日米が主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想への積極関与を求めた可能性もある。韓国は中国への配慮から同構想には慎重な姿勢を示している。