浸水した北陸新幹線の10編成、JR東が廃車を発表
JR東日本は6日、台風19号による河川の氾濫で浸水した北陸新幹線10編成をすべて廃車とすると発表した。車両の帳簿上の価値はJR東の持つ8編成が118億円で、JR西日本の2編成が30億円。部品は一部転用するが、残りは2020年3月期に特別損失を計上する方針。北陸新幹線は通常時の8割のダイヤで運行しているが、20年3月末までに台風前の本数に戻すことを目指す。
JR東の深沢祐二社長は6日の定例の記者会見で「列車本数を減らしていることでお客様にご迷惑をお掛けしている」と謝罪。「年度末までに列車本数を100%に戻すべく、復旧に向けて全力を挙げる」と話した。
北陸新幹線は全部で30編成あり、このうち長野県の基地にとめていたJR東のE7系と、JR西のW7系の計10編成が浸水した。車両の下のモーターなどの電子機器に被害があり、安全上、再び使うのは難しいと判断したという。
20年3月期に車両のほかに車両基地の設備などの特別損失も計上する方針だ。JR東は台風に伴う計画運休などで、10月の売上高が120億円程度減ったといい、廃車により業績への影響がさらに拡大する。
北陸新幹線は現在、通常の8割程度のダイヤで運行している。まず11月末までに東京―金沢間の直通運転で運行本数を台風前に戻し、3月末までに全体の回復を目指す。ダイヤの完全復旧に向け、来春までに上越新幹線に投入する予定だった新造車両のE7系5編成を北陸新幹線で使うほか、上越と北陸の両方で使っているE7系1編成を北陸中心で使う(「北陸新幹線に上越向け新造車両を転用へ JR東日本」参照)。
これらの対策で、26編成まで回復できるという。北陸新幹線ではもともと30編成の車両を抱えており、実際には24編成を使って通常のダイヤを組んでいた。
JR東は今後、浸水車両と同じ車両数の8編成分を新たに車両メーカーに発注する計画だ。上越新幹線はもともと、2階建て車両のE4系からE7系に置き換える計画だったが、先にE7系車両を北陸に使うため当初よりも、置き換えには時間がかかりそうだ。