東アジア首脳会議 議長声明、南シナ海巡る表現弱まる
中国、草案に強く反発
【バンコク=岸本まりみ】東南アジア諸国連合(ASEAN)や日本、米国、中国など計18カ国が4日にバンコクで開いた東アジア首脳会議の議長声明が5日、公表された。中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題について「いくつかの懸念に留意」とし、前年の表現を引き継いだ。今回は草案段階では「重大な懸念」と表現を強めていたが、中国の強い反発で押し戻されたもようだ。
議長声明を巡ってはとりまとめが難航し、会議終了後、丸1日以上たってから公表された。
南シナ海問題では中国や同国への経済依存を深めるカンボジアなどが草案の表現を弱めるよう求め、中国の軍事拠点化や資源開発の動きに強い懸念を示す日米やベトナムと対立。調整に時間がかかったとみられる。
今回の東アジア首脳会議には中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が参加した。一方、米国はトランプ大統領の特使としてオブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が代理出席した。同氏は9月に就任したばかりで閣僚級に比べ「格下」で、南シナ海問題に関する表現は米国の発言力が低下し、中国の存在感が増したことを示す結果となった。
北朝鮮問題を巡っては「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」の表現を維持した。草案段階では消えていた拉致問題への言及も復活した。日本などが強く要求したとみられ、「一部首脳は拉致問題の解決を含む、国際社会の人道的懸念の問題に取り組むことの重要性を強調した」とする前年の表現を引き継ぐ形で落ち着いた。