米、イラン指導者側近9人に制裁 「拷問や殺人に関与」
【ワシントン=中村亮】米財務省は4日、イランの最高指導者ハメネイ師の側近9人とイラン軍の最高機関を経済制裁の対象に指定した。イランが隣国の武装勢力を支援したり、深刻な人権侵害を繰り返したりしているためだと説明した。4日はイランの学生らによるテヘランの米大使館占拠事件から40年の節目にあたり、トランプ政権は制裁で対イラン強硬姿勢を印象づける狙いがある。
制裁対象にはハメネイ師の息子など親族や軍事顧問が追加された。米国にある資産が凍結され、米企業との取引ができなくなる。ムニューシン財務長官は4日の声明で「制裁対象は拷問や法的に認められていない殺人、市民の抑圧などのイラン指導部による数多くの悪意に満ちた行為に関わった主体だ」と非難した。ハメネイ師本人は6月に制裁対象に指定された。
米ホワイトハウスも4日の声明で米大使館占拠事件についてイラン政府を改めて批判した。「イラン指導部はいまも失敗ばかりの外交政策の一環で無実の市民を人質として利用しようとしている」と主張した。
国務省は4日、2007年にイランで行方不明になった米連邦捜査局(FBI)の元捜査官に関する情報提供者に最大2000万ドル(約22億円)を出すと発表した。米政権はイラン政府が同捜査官を拘束したとみており、有力情報を得て救出を進めたい考えだ。
今後も米イラン関係の緊迫は高まる可能性がある。イラン政府は15年に結んだ核合意の義務履行停止を加速させる構えを見せているからだ。核開発につながる重大な措置をとれば米国やイスラエルが猛反発するのは必至だ。トランプ大統領は4日、ホワイトハウスで記者団に対し、核合意を巡るイランの対応について「注視している」と語った。
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