12月に日中韓首脳会談 日中首相、習氏来日へ協力確認
【バンコク=秋山裕之】安倍晋三首相は4日、訪問先のバンコク郊外で中国の李克強(リー・クォーチャン)首相と約25分間会談した。李氏は12月に中国・成都で日中韓首脳会談を開く方針を表明した。来春に予定する習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓来日に向けて協力することも確認した。
両首相の会談は2018年10月下旬に北京で開催して以来、約1年ぶり。
日中韓首脳会談は12月下旬に開く予定で、李氏は議長を務める。安倍首相が訪中し、首脳会議に合わせて習氏とも個別に会談する予定だ。
4日の首相同士の会談では、李氏が「自分と安倍首相は日中両国が正常な軌道に戻り、新たな発展をとげる後押しをしてきた」と強調した。「日中両国はともに多国間主義や自由貿易を守っていきたいと考えている」と指摘した。
安倍首相は「次は私が訪中する。この機会を活用しつつ、習主席の来日を日中新時代にふさわしい有意義なものにするために協力する」と呼びかけた。「日中はアジアや世界の平和と安定に大きな責任を持ち、地域や国際社会の課題に取り組む」と述べた。
安倍首相は日中間の懸案も取り上げた。中国公船による沖縄県・尖閣諸島周辺での領海侵入や、北海道大学教授の男性らが中国当局に拘束されたことへの対応を求めた。中国が軍事拠点化を進める南シナ海情勢を巡り、非軍事化の重要性を唱えた。香港情勢に関しても憂慮を伝え、自制と対話を促した。日本政府関係者によると、李氏は従来の中国側の立場を述べた。
北朝鮮による核問題では国連安全保障理事会決議を完全に履行すべきだとの立場で一致した。安倍首相は日本人拉致問題について協力を要請した。このほか、経済面で協力することも確認した。
日中間では要人往来が続いている。6月には習氏が20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に合わせて来日した。10月には習氏の盟友として知られる王岐山国家副主席が「即位礼正殿の儀」に参列した。