米大統領再選か奪還か、「分断のアメリカ」まとめ読み
2020年は4年に1度の米大統領選イヤーだ。ドナルド・トランプ大統領の審判の日は11月3日。前回選挙で異端の大統領を生んだ米国の亀裂は深まる一方だ。至るところで格差と断絶が広がり、米国が抱える矛盾と本音が噴出している。米国から世界に広がった地殻変動はまた続くのか――。
19年11月に公開した連載企画「分断のアメリカ 大統領選まで1年」では、世代や人種、地方などに生じた断層を取材し、米国の有権者のインタビュー映像を掲載しました。世論調査や統計のデータも示し、ファクトとともに米大統領選の行方を探りました。
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【1】左を向くミレニアル世代
2020年の米大統領選は有権者の「世代交代」がおきる。全米最大の人口層だったベビーブーマー世代(1946~64年生まれ、7130万人)を、若者の中核となるミレニアル世代(81~96年生まれ、7280万人)が初めて逆転するためだ。そのインパクトは計り知れない。
【2】「これは人種間戦争だ」
「これは戦争だ。白人に立ち向かおう」。9月中旬、首都ワシントンで黒人150人が選挙差別を訴えた。黒人奴隷を解放し、初の黒人大統領バラク・オバマ(58)を誕生させた米国で、なぜ再び選挙差別の危機感が強まっているのか。
【3】「51番目の州」へ反乱
「51番目の州」の独立運動が全米で浮上している。イリノイ州モートンでは、シカゴと分かれて新たな州をつくる運動「イリノイ・セパレーション」の住民投票を求める署名活動が広がる。各地の「反乱」をひそかに後押しするのは、実はトランプ政権だ。
【4】「次こそ女性大統領」
セクハラ疑惑や女性蔑視と受け取れる発言を繰り返すトランプ大統領。「いじめっ子を負かすのは、その被害者が最適任だ」。民主党ではトランプへの反発が女性の政治参加を促す。一方、女性の共和党支持者の間ではトランプ人気が高いという現実もある。
【5】宗教大国で深まる対立
建国以来、キリスト教と政治が不可分の宗教大国アメリカ。中絶や同性婚を巡る価値観の対立はかつてなく深まっている。中絶禁止法を成立させる州が増える一方、「女性には自分の体は自分でコントロールする権利がある」と、中絶の権利擁護を進める州も相次ぐ。
【6】銃規制なるか
銃を持つ権利を認めた合衆国憲法。悲劇が繰り返されるなか、規制を巡る論争は勝敗を左右する。トランプ政権下で銃によって4人以上が死亡または負傷した事件は1163件、死者1002人にのぼる。相次ぐ銃乱射事件で規制強化を求める声は高まっている。
2020年に実施されたアメリカ大統領選挙のアーカイブぺージです。開票結果や分析など記事をまとめました。