コマツの純利益30%減 今期、東南ア・中国で苦戦
コマツは30日、2020年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比30%減の1800億円になりそうだと発表した。16%減益だった従来予想から350億円の下方修正になる。資源価格の下落で東南アジアで鉱山機械の販売が落ち込んでいる。中国では現地メーカーの価格攻勢を受けシェアを奪われている。米国や日本は堅調だがアジアの落ち込みを補いきれない。
売上高は9%減の2兆4720億円を見込む。従来予想より1450億円の引き下げだ。営業利益は30%減の2790億円で、580億円下振れする。営業利益ベースで建機の販売減少が約400億円の押し下げ要因になる。
苦戦するのはアジアだ。中国を除くアジアの建機売上高は2266億円と33%の減少を見込む。中国は1380億円と16%減だ。それぞれ従来予想からは551億円、84億円の引き下げになる。
東南アジアではインドネシアで販売が落ち込んでいる。米中貿易摩擦の影響などで石炭やパーム油の輸出が低迷し石炭を運ぶダンプトラックなどの鉱山機械や農業用機械の販売が減少する。インドネシアやフィリピン、タイでは大型選挙の影響で公共投資の執行が一時的に止まった影響があった。
中国では最大手の三一重工を中心とする現地メーカーがコマツなど外国メーカーより約2割安い価格で攻勢をかける。コマツの見通しによると19年の中国の建機需要は前年比で最大10%増えるのに対し、コマツなど海外メーカーの販売は10~20%落ちる。
コマツの建機売上高の3割を占める北米は、堅調なインフラ投資や住宅販売が下支えし、6%減の5733億円とほぼ予想通りに着地しそうだ。日本も2%増の3198億円と好調を維持する。
30日、記者会見した小川啓之社長は「東南アジアや中国の落ち込みはある程度見込んでいたが、石炭価格下落などの想定が甘かった」と説明した。下期は「上期ほどの落ち込みは考えていないが貿易摩擦など不透明要因の懸念は拭えない」という。
同日発表した19年4~9月期の連結決算は純利益が前年同期比28%減の900億円、売上高は8%減の1兆2134億円だった。
関連企業・業界