ファストリ柳井会長「GAFA台頭は好機」―世界経営者会議
第21回日経フォーラム「世界経営者会議」(主催=日本経済新聞社、スイスのビジネススクールIMD、米ハーバード・ビジネス・スクール)が28日、都内の帝国ホテル東京で開幕した。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「GAFA」と呼ばれる米IT(情報技術)大手が力を持つことを「脅威ではなく、一般企業にとってチャンスだ」と語り、企業による自由な経済活動の重要性を訴えた。
柳井氏はGAFAについて「国を超えて事業をするためのインフラとして利用することで、チャンスになる」と話した。各国の都合による規制の動きをけん制したうえで、企業が規制に安住せず自らデジタル化やグローバル化に真っ正面から取り組む必要に触れ、「国の覇権争いに経営者は間違っているとはっきり言うべきだ」と強調した。
持続可能性への世界的な関心の高まりにも触れ、「持続可能性(サステナビリティー)は事業を続ける上で必要条件になっている」と述べた。どんな服かよりも先にサステナビリティーを求められる現状に触れ、ものづくりについては「大量生産・消費時代は終わりを迎えた」と話した。使い捨てではない服として、リサイクルなどの取り組みを説明した。
日本マクドナルドホールディングス(HD)のサラ・カサノバ社長は世界各地で進む高齢化に触れ、「高齢者や外国人など多様な人材を(店舗スタッフとして)雇用し、地域に貢献する」と話した。最高齢のスタッフは91歳であると明かし、シニアスタッフも全国で約6200人いるとした。
人手不足が深刻となる中、主婦や高齢者など幅広い人材の活躍は事業継続の点からも重要だ。カサノバ氏は高齢者が目標を持つことの重要性をあげ、高齢者向けの教育プログラムを用意するなど、積極的に雇用していく方針を示した。
日清食品ホールディングスの安藤宏基社長・最高経営責任者(CEO)は今後レストランなどで「カロリーや塩分に加え、二酸化炭素(CO2)の排出量が表示される時代が来る」と話した。地球環境や人権に配慮した商品を選ぶ「エシカル(倫理的)消費」が米国や台湾、中国などでも増えているとして、エシカルでおいしい製品の開発を追求していくと話した。
日本経済新聞社はスイスのビジネススクール「IMD」と共同で11月7、8日に東京都内で日経フォーラム第25回「世界経営者会議」を開催します。テーマは「技術新時代のリーダーシップ」。オンラインでも有料配信します。
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