ミャンマーで初の特定技能試験 宿泊業、238人受験
【ヤンゴン=新田裕一】外国人労働者の新たな在留資格「特定技能」の試験が27日、ミャンマーで初めて行われた。ホテルや旅館で働く宿泊業が対象で、最大都市ヤンゴンの試験会場では238人が受験した。特定技能の対象の14業種のうち、海外で試験を行ったのは介護分野に続いて2業種目となる。
受験したのは約6割が女性。航空会社で勤務中の女性(25)は「宿泊客への接客に興味がある」と応募した。「日本で働きたいと思って2年前から日本語を勉強してきた」と話した。
試験では接客の基礎知識を問う筆記試験と、実務での対応力をみる口頭試験を行った。特定技能制度への関心は高く、250人の受験枠は申し込みの受け付け開始から約30分で埋まった。合格者は11月15日に発表する。
業界団体でつくる宿泊業技能試験センターによると、年内には採用希望企業とのマッチングを始め、2020年前半の渡航実現を目指す。ホテルや旅館への事前調査では少なくとも115人の求人があったという。
特定技能は、人材不足が深刻な14業種で外国人の就労を認める新たな在留資格。業種ごとに国内外で行う技能試験に合格することなどが条件だ。政府は宿泊分野で今後5年で2万2千人の人材受け入れを見込む。
各業界は留学生らを対象とした国内での試験を優先し、海外ではフィリピンやカンボジアで行った介護分野のみだった。
宿泊業の試験は、日本で2回実施し、1回目の試験で280人が合格した。このうち特定技能の在留資格の取得手続きを終えた人は「1桁にとどまる」(宿泊業技能試験センター)という。制度の理解浸透や審査手続きの迅速化が今後の課題となる。