参院埼玉補選、上田前知事が当選 与野党「相乗り」
7月の参院選後初の国政選挙となった参院埼玉選挙区補欠選挙は27日に投開票された。無所属で前埼玉県知事の上田清司氏が、NHKから国民を守る党の党首で前参院議員の立花孝志氏を破り初当選した。自民党と立憲民主党の与野党第1党がいずれも擁立を見送り、上田氏に事実上「相乗り」したことで投票率は20.81%と低かった。
投票率は7月の参院選埼玉選挙区の46.48%を25ポイント超も下回った。総務省によると、補選を含む戦後の国政選で投票率が最も低かったのは1991年の参院埼玉選挙区補選の17.80%で、ワースト3まではすべて参院の補選が占めた。今回は歴代で4番目に低かった。
補選は8月の県知事選に出馬した大野元裕知事が参院議員を辞職したことを受けて実施した。
上田氏は旧民主党の衆院議員などを経て2003年から埼玉県知事を4期16年務めた。地方重視の政治を掲げ、社会保障制度や行財政の改革などに取り組むと訴えた。各党からの推薦や支持を受けなかったが、出陣式には与野党の国会議員が出席した。
自民党は上田氏が憲法改正に前向きな姿勢を示したことから独自候補を立てず自主投票にした。参院では改憲に前向きな勢力が改憲発議に必要な3分の2の議席に4足りず、党内には上田氏との協力に期待する声がある。下村博文選挙対策委員長は27日、上田氏の当選を受け「憲法をはじめとする国政課題について活発に議論を交わすことを大いに期待したい」との談話を出した。
立民や国民民主党は上田氏を水面下で支援した。8月の県知事選では上田氏が事実上の野党統一候補を応援した経緯がある。国民民主の玉木雄一郎代表は談話で「野党が連携して戦ったことに大きな意義がある。次期衆院選へ一層の野党連携を構築する」と強調した。