日本ガイシ、8年ぶり国内生産拠点 岐阜・多治見
日本ガイシは25日、岐阜県多治見市で半導体製造装置向け部品の新工場の操業を始めた。石川工場(石川県能美市)が2011年に稼働して以来8年ぶりの国内生産拠点になる。次世代通信規格「5G」の普及やモバイル機器の高度化に伴う半導体需要の拡大をにらみ、増産体制を整える。
大島卓社長は同日の式典で「半導体の市況はすでに底入れしており、中長期的に需要は伸びる」と強気の見通しを示した。新たなNGKセラミックデバイス多治見工場は11月に初出荷し、20年4月にフル稼働する計画だ。
子会社のNGKセラミックデバイス(愛知県小牧市)が運営する。工業団地「多治見長瀬テクノパーク」に立地し、中央自動車道の多治見インターチェンジ(IC)から車で10分ほどだ。中部国際空港(愛知県常滑市)や名古屋港(名古屋市)などへのアクセスも良く、国内外の半導体製造装置メーカーに製品を供給する。
総投資額は約320億円。半導体製造装置向け部品「サセプター」を製造する。新工場の稼働でサセプターの年間生産能力は5割増える。
生産効率を高めるため、製造工程の一部を自動化したほか、複数のサセプターを同時に加工する最新鋭機器を導入した。「既存工場に比べ生産性は3割上がる」(大島社長)という。
半導体はシリコンウエハーの表面に酸化膜や金属膜を重ね合わせる「成膜」、回路以外の部分をガスで取り除く「エッチング」などの工程を経て完成する。サセプターは両工程の温度を制御する。回路の複雑化で製造工程が増え、需要が伸びている。
サセプターは数年前から「作っても作っても足りない」(大島社長)状況が続いていた。新工場への投資額は当初計画より120億円増やし、生産開始時期も半年ほど前倒しした。
将来は新工場の敷地内に同規模の工場を建てる計画だ。「市況を見ながら20年夏に投資判断する」(岩崎良平専務執行役員)としている。(植田寛之)
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