中国・重要会議「4中全会」28日開幕、人事巡り臆測も
【北京=羽田野主】中国共産党は24日の中央政治局会議で、重要会議である第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)を28~31日の日程で開くと決めた。議題は「中国の特色ある社会主義制度や国家統治の体系と能力」とした。主に党内の統治を議論するとみられる。党最高指導部である政治局常務委員(7人)の増員など人事を巡る臆測も出ている。
国営新華社が24日伝えた。中央委員会は共産党の最高指導機関だ。党規約は年1回以上の全体会議の開催を義務づける。5年に1度の党大会に代わり、党の重要事項を決める役割がある。約200人の中央委員と約170人の中央委員候補が参加する。
党は8月末の政治局会議で4中全会の10月開催を決めた。詳しい日程は開催直前まで決まらなかった。しかも4中全会の閉幕日は10月の最終日。異例といえ、共産党関係者は「米国との貿易戦争に対処する方針や香港への対応方法を巡り党内で意見がまとまらず、開催が遅れた」と明かす。
18年2月に開いた3中全会から1年8カ月ぶりの開催になる。これほど長期間にわたり、会議が開かれなかったのは鄧小平氏が改革開放路線を打ち出した1978年以降で初めてだ。習近平(シー・ジンピン)指導部にとって国内外で課題が山積する中での開催になる。
米中貿易戦争は10月の閣僚協議で進展があったものの、中国が求める発動済みの追加関税の撤廃などは実現していない。香港では逃亡犯条例に端を発したデモが長引き、開始から4カ月余りが経過しても沈静化する兆しはみえない。4中全会でも貿易戦争や香港問題を巡って意見が交わされる可能性がある。
これまでは5年に1度の党大会の翌年秋に開く3中全会で、経済政策の中長期の基本方針を決めてきた。だが、昨年2月に開いた3中全会では憲法改正を討論し、経済政策は議論できなかった。昨年秋に4中全会を開いて経済を討議するとの観測もあったが、結局開かれなかった。今回も公表された議題をみると、経済政策が議論の中心にはならなさそうだ。
トランプ米政権は中国の産業補助金など構造問題での譲歩を迫る。北京の外交筋は「貿易交渉の出口がみえず、変数が大きいため経済討議は先送りする」と解説する。
人事を巡る臆測も出ている。香港紙・明報は23日、いまは党トップ25の政治局委員である陳敏爾・重慶市書記と胡春華(フー・チュンホア)副首相の2人が、いずれも4中全会で常務委員に昇格するとの観測を伝えた。常務委員は現在の7人から9人に増えるとの見立てだ。両氏とも1960年代生まれで、ポスト習近平世代に位置づけられる。
陳氏は新聞記者出身で浙江省勤務時代に習氏と知り合い、習氏側近として知られる。胡氏は胡錦濤(フー・ジンタオ)前国家主席らを輩出した共産主義青年団(共青団)の出身で、行政手腕の高さが評価される。