看護職員、最大27万人不足 都市部で顕著、高まる需要 厚労省、2025年推計
厚生労働省は24日までに、看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師)が2025年に約6万~27万人不足するとの推計を発表した。訪問看護などの利用者が多い都市部で不足が顕著だった。25年は団塊の世代が全員75歳以上となり、医療従事者の需要はさらに高まるとみられる。同省は人材確保のため、過重労働になりがちな勤務環境改善などに力を入れる方針。
同省は今後、看護職の勤務環境が改善された場合を想定。残業時間と有休の取得日数のパターンを3種類設定して、それぞれ必要数を試算した。
その結果、(1)約202万人(残業せず有休20日以上取得)(2)190万人(残業10時間以内で有休10日以上)(3)188万人(残業10時間以内で有休5日以上)――となった。一方、実際の看護職員は16年に約166万人で年々増加すると見込むが、25年には約175万~約182万人までしか増えないとみている。
現在の勤務状況に最も近い「残業10時間以内で有休10日以上」で見た場合、看護職員は27都道府県で不足しており、特に都市部で顕著となった。
最も不足するのは、神奈川県で充足率72.6%(不足数約3万2千人)。次いで大阪府で同74.8%(同約3万6千人)、東京都で同77.0%(同約4万2千人)。人口増加で医療需要などが供給を上回ることが要因とみている。
特に需要が大きく高まるとみられる訪問看護や介護の分野では、負担の重さなどから離職者が多いため全国的に不足が課題になると分析。厚労省は昨年5月、介護職員も約33万7千人不足するとの推計を公表している。
厚労省の担当者は推計について、看護職員が充足するとした地域でも、へき地などで不足の恐れがあると説明。各自治体に対し「実情に合わせ、医療計画を見直すなどし人材確保などに努めてほしい」と求めている。〔共同〕