ボリビア、大統領選で非常事態宣言 介入疑惑受け
【ネウケン(アルゼンチン中部)=外山尚之】南米ボリビアのモラレス大統領は23日、野党陣営が海外の協力を得てクーデターを計画していると主張し、非常事態宣言を発令した。20日の大統領選で、モラレス氏は開票作業に介入した疑いがもたれていた。選挙監視団を派遣した米州機構(OAS)は決選投票の実施を求めるが政権側に応じる気配はなく、緊張感が高まっている。
モラレス氏は23日の記者会見で「右派勢力と海外の政治によって準備されたクーデター計画が進行している」と発言した。「民主主義を守る」として、非常事態宣言を発令した。これを受け、野党候補のカルロス・メサ元大統領は「独裁への道を歩んではいけない」と述べ、支持者に対し、抗議活動に参加するよう呼びかけた。
20日の開票作業ではモラレス氏の得票が伸び悩んでいたが、開票速報が一時中断され、再開後に不自然にモラレス氏の得票数が伸びた経緯がある。22日には開票結果の発表を遅らせるように政府から介入があったと選挙管理当局の幹部が告発し、辞職を表明している。
OASの選挙監視団のマヌエル・ゴンサレス団長は23日、「選挙手続きに証拠付きの問題があり、決選投票に進むことがより良い選択肢だ」と述べ、モラレス氏の当選を認めない姿勢を示した。ゴンサレス氏は今回の選挙について、政府の関与により公平性や透明性、独立性などが侵害されていたと指摘した。
2006年に大統領に就任した先住民出身のモラレス氏は憲法の規定や国民投票の結果を無視して大統領選への出馬を強行するなど強権的な姿勢で知られ、独裁政権を確立したベネズエラのマドゥロ大統領を支持している。