Facebook・CEO「リブラ、決済システム構築が目的」
【シリコンバレー=白石武志】米下院金融サービス委員会で23日、米フェイスブックのデジタル通貨「リブラ」構想に関する公聴会が始まった。議員らからは既存の通貨システムへの影響を懸念する声が相次いだが、証言したマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「リブラの目的は通貨ではなくグローバルな決済システムを構築することだ」と述べ、構想の実現をめざす意向を繰り返した。
フェイスブックは6月のリブラの構想発表時点で2020年の発行開始をめざすとしてきた。ただ、過去にプライバシー問題で不祥事を重ねた同社への批判は強く、同委員会の一部議員は開発中止を求めていた。
ザッカーバーグ氏は冒頭証言で「金融当局の懸念に全面的に対処できるまで開始を遅らせる」と明言するとともに、発行開始までに米国のあらゆる金融当局の承認を得る考えも示した。
一方、ザッカーバーグ氏は「これらの問題を議論している間も、残りの世界は待ってくれはしない」と指摘。中国で進む人民元を基軸とするデジタル通貨構想を引き合いに「米国が技術革新しなければ我々の金融分野での指導力は保証されない」と訴えた。
フェイスブックは国境を越えてやりとりできるリブラによって、これまで銀行のサービスを受けらなかった新興国の人々にも手軽で低コストの決済手段を提供できるとしている。ただ、リブラが先進国でもドルなどの法定通貨に取って代わる存在をめざしているとの見方は強く、ミークス議員(民主党)は「言葉と行動は異なる」と理念そのものに疑念を示した。
リブラが資金洗浄の温床となるリスクを懸念するマロニー議員(民主党)からは「これは国家安全保障の問題だ」との指摘も出た。その一方でバー議員(共和党)は「価値あるものを創造しようとしていることを称賛する」とリブラ構想に一定の理解を示した。
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