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「大好き」を育む サッカー協会が取り組む「普及」

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今、日本ではラグビーのワールドカップ(W杯)の話題で持ちきりだが、サッカー日本代表も2022年W杯カタール大会のアジア2次予選を3戦全勝と順調に勝ち進んでいる。

6-0と一蹴した埼玉スタジアムのモンゴル戦(19年10月10日)に続いて、日本代表はアウェーのタジキスタン戦(10月15日)も3-0で快勝した。この2連戦から感じたのは、クラブレベルでは世界最高峰の欧州チャンピオンズリーグ(CL)を経験した選手の余裕のようなものだった。

CLを経て切れ味を増した伊東、南野

モンゴル相手に3アシストを記録した伊東純也(ゲンク)、2試合で3得点した南野拓実(ザルツブルク)がそうだった。2人とも帰国前にCLの試合をこなしていたこともあり、判断とアクションに次元の異なる切れ味を感じた。

伊東のアシストは流れの中からワンタッチで折り返されたものが多かった。そういうタイミングでゴール前に入れられると、相手DFは戻りながらの守備を余儀なくされ、クリアもポジション取りも格段に難しくなる。伊東がそこでドリブルを少しでも挟んだら、相手DFもポジションを修正する時間をつくれたのだが、ワンタッチのクロスやスルーパスはそういう時間を削るという点で同じ効力を持つのである。

国際Aマッチ4試合連続得点となった南野は、トップ下と1トップのどちらに置かれてもゴールに向かう貪欲な姿勢を貫いた。相手のラインの間でパスを引き取るうまさ、引き取った後のターンの速さ、DFとDFの間に入ってシュートの形に持っていく動き、すべてに磨きがかかっている。

彼らのように、CLで戦う選手ばかりで日本代表のメンバーが構成されるような時代が来たら、真剣にW杯の頂上付近が見えてくると思ったものである。

そういう選手をどうすれば次々に輩出できるのか。世界中から日本の選手が引っ張りだこになる状況をつくれるのか。答えは平凡だが、子供の頃から地道に普及と育成のレンガを積み上げていくしかないのだろう。

私もメンバーの一員である日本サッカー協会の技術委員会は「代表強化」「指導者養成」「育成」という3つの柱でかつては構成されていた。現在はそれに「普及」も加えた"四輪駆動"で運営されている。もともと育成部会の中にあったものが、ここに来て普及の重要性が再認識され、独立した部会になったのである。

「育成」は学年でいえば中学生や高校生の10代の選手が主な対象になる。「普及」はそれよりも低年齢層を対象とする。サッカーとの関わりをつくっていく導入部ということで、これまでも幼児や小学生向けのキッズプログラムはあったけれど、それをさらにブラッシュアップしていこうと新設されたわけだ。

楽しいと大好きは意味が違う

普及や育成は競技人口のボリュームが多い割に予算は少なく、指導はボランティアの頑張りに頼っているのが実情。世界で勝つために、そこをどう改革していくか。必要なら予算をつけて、インストラクターの研修会等もきめ細かにやり、コーチとコーチングの質を高めていこうと、いろんな施策を練っているところである。

ただ、簡単なようで難しいのが普及でもある。

楽しく遊ばせるのは導入部としては結構なこと。勝ち負けよりも、体を動かすことの楽しさを知ってもらうことが入り口では大切だ。

しかし、楽しいと大好きは意味が違う。大好きは日常にサッカーがあるということ。楽しいを入り口に、そこからどう大好きに変えていくか。大好きになってくれたら、その次にはサッカーというゲームの本質にも幼いながらも触れてほしいというのが出てくる。そのさじ加減が難しい。

私個人は、大好きになってもらうには成長する喜びを知ってもらうのが一番だと思っている。スポーツの中で手を使わないという最も不自由なことを強いるのがサッカー。ボールリフティングが分かりやすい例で、最初は1回すらできない。それが10回になり50回になり、利き足とは別の足でもできるようになる。そうなると、しめたもの。できないことだらけでイライラしていたのが、達成感のとりこになってオセロの石が黒から白にすべて裏返るように、のめりこむようになる。

できなかったことが地道な練習を通してできるようになる。そういう喜びの回路を幼い間につくることはスポーツ以外の勉強にも役立つことだろう。だから親御さんや指導する側には、できないことを「へたくそ」なんて叱らずに、辛抱強く見守り励まして、できるようになったことの一つ一つを褒めてあげてほしいのである。

普及に取り組むとき、日本の場合は少子高齢化の問題を避けて通ることはできない。どこの競技団体も子供の登録人口減が悩みの種になっている。

しかし、そこから「日本のスポーツ界は先細り」というような悲観的な認識を持つのもどうかと思う。

例えば、18年のW杯ロシア大会に激戦の欧州予選を勝ち抜いて初出場を果たしたアイスランドは人口約36万人である。東京都の23区なら北区程度。それでも普及と育成に力を注いだらW杯に出場し大国アルゼンチンと引き分けることもできた。それがどれだけの勇気と希望をアイスランドの子供たちに与えたことか。

少子化といっても、日本の子供の競技人口はアイスランドの何十倍もあるだろう。要はやり方次第なのであって、消極的になったり、悲観的になったりするようなことではない。

他のスポーツへの導入部としてのサッカー

日本サッカー協会が普及により一層、力を注いでいこうとなったのは、タレントの発掘に見逃しや手遅れがないようにということが念頭にあるが、人材の囲い込みを狙ってのことでは決してない。サッカーを通じて体を動かすことの楽しさを知った子供が、長じて別の競技に打ち込むことになっても、それはそれで歓迎すべきことだと思っている。

サッカーというゲームはスポーツの導入部としていろいろなメリットがある。ボール1個で遊べる簡単さ。ボールを取った、取られた、ゲームに勝った、負けたがはっきりし、悔しい、うれしい、の繰り返しが、ある種の情操教育にもなる。肉体的な接触はありながらも大きなケガをするほどではなく、走り回るから心臓や肺にもいい影響を与える。心肺機能や骨格など子供の成長に合わせてゲームの仕様を自在に変えられる。クルマでいえば、いいエンジン、いいフレームをつくるのに適していると思うのだ。

今、ラグビーのW杯を沸かせている日本代表の田村優選手(キヤノン)も中学生まではサッカーをしていたらしい。試合中に見せるキックのセンスはサッカー経験者と聞けば合点がいく。テニスの錦織圭選手も小学校ではサッカーに打ち込んでいたと聞く。彼らはサッカーで運動感覚を養って他競技に羽ばたいた、素晴らしい模範のように思える。

羽ばたく先は音楽や絵を描く、といった芸術でもいい。要は自分をわくわくさせるものを自分で見つける習慣の手がかりにスポーツでの体験がなればいいのだ。

大事なことはスポーツで子供たちにいい刺激を与えること。精力善用ではないが、いい方向へ感情に火をつけて、やる気、勇気、仲間との一体感といった感覚を体得するきっかけをつくる。それが普及の一番の目的だと思うのである。それはこの国の未来を豊かにする一助になると信じて疑わない。

(サッカー解説者)

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