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デジタル通貨、描けぬ未来像 リブラに拒絶反応

金融システムや既存ビジネスへの警戒強く

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【ワシントン=河浪武史】日米欧や中国など20カ国・地域(G20)が米フェイスブックのデジタル通貨「リブラ」の事業開始を当面認めない方針を打ち出したのに対し、同社のリブラ担当幹部は20日「金融に劇的な変化をもたらす」などと改めて参入の意義を訴えた。中央銀行や民間銀行には通貨発行益や送金・決済ビジネスが損なわれるとの危機意識がある。既存勢力とデジタル通貨が並び立つ未来像は描けないままだ。

G20や国際通貨基金(IMF)の一連の会合が閉幕した翌20日、ワシントン市内で開いた中銀関係者らの勉強会に、フェイスブックのリブラ開発責任者、デビッド・マーカス氏の姿があった。

国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人らを前にマーカス氏は「金融システムの中核は50年間変わらないが、ネットなら劇的な変化を起こすことが可能だ」と強調。「国境間の送金ビジネスは7000億ドルもの市場があるが、コストは下がっていない」とリブラの意義を説いた。

フェイスブックには一国の人口を上回る20億人超の利用者がいる。資金洗浄や個人情報の流出といったリスクだけでなく、リブラに経営問題が発生すれば「大銀行と同じように金融システムを揺るがす懸念がある」(米連邦準備理事会=FRB=のパウエル議長)。マーカス氏は20日の会合で「変革の大きさを十分認識しており、当局が求める規制の順守を強く約束する」とも表明した。

それでもリブラの事業環境は厳しさを増すばかりだ。G20は17~18日の財務相・中央銀行総裁会議で、リブラなどのデジタル通貨に「深刻なリスクがある」とする合意文書を採択した。リブラは2020年の事業開始を目指していたが、主要当局は事業計画の再精査を求めており、当面は事業認可を棚上げする。

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「疑問と懸念には対応する」と当局との議論を重視するが、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは18日の会合で「リブラは絶対に実現しない」と言い切った。ある中銀首脳OBは、通貨当局のリブラへの拒絶反応に「中銀と民間銀行による既存の金融システムを根本からひっくり返す可能性があるからだ」と喝破する。

一つは中央銀行が持つ通貨発行益(シニョレッジ)だ。中銀は紙幣を発行して国債などの資産を買い入れ、利益を上げている。FRBは17年に807億ドルの純利益を上げて802億ドルを国庫に納付したが、通貨発行益がなければ金融システムの維持コストを賄いきれない。中銀マネーの一部がリブラに代われば通貨発行益もリブラに移り、リブラが巨額の利益を上げる一方で中銀の収益は目減りすることになる。

民間銀行のビジネスモデルも縮小が避けられない。生活者が資金をリブラに移せば民間銀行の預金も目減りして、金融機関の融資によって経済を動かす「信用創造」が損なわれる。スウェーデンなどでは中銀によるデジタル通貨計画があるが、企業や個人が中銀に預金口座を持つのと同じ仕組みとなり「信用創造」は同じように損なわれる。

フェイスブックなどがデジタル通貨に商機をみる最大の理由は、送金・決済ビジネスの進化が遅れているからだ。世界銀行の調査では、グローバル化によって移民が増加し、国境をまたいだ送金規模は18年に6894億ドルと10年間で5割増えた。にもかかわらず手数料などのコストが平均7%と高止まりし、民間金融機関の収益源となる一方で低所得層の負担は重い。中銀間の国際決済システムも刷新が遅れ、マーカス氏は「(グーグルの)Gメールからヤフーメールに送信できないようなものだ」と皮肉った。

スタンフォード大のダレル・ダフィ教授は「銀行主体の現在の決済システムを、より早く進化させるのが最も効果的だ」と話す。ただ、FRBは8月にようやく即時決済システムを開発すると表明したが、開始時期は23~24年と先だ。20年のサービス開始を想定するリブラに比べ、当局のスピード感はかなり鈍い。

リブラが突き付けたのは金融システムの遅れだけではない。国家通貨はこれまでも政策当局が歴史的にミスを繰り返し、大きくその価値を落としてきた。新興国などでは、ハイパーインフレや大幅な通貨安を不安視して、リブラに資産を移し替える生活者も出てきそうだ。リブラに打ち勝つだけの信用力を、金融・通貨当局が保てるかが最大の問題になる。

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