秋田県立大、ドローンで温暖化ガス観測 国内初
秋田県立大学はドローン(小型無人機)を使った温暖化ガスの観測に国内で初めて成功した。上空の温暖化ガスの分布を知るには気象観測用タワーや気球、航空機を使うが、いずれも多額の費用がかかる。ドローンによる観測は手軽で安価なため、高い頻度で観測したり、複数のドローンで森林と都市の濃度分布の違いを調べたりできるようになるという。
生物資源科学部の井上誠准教授(気象学)ら6人が機器を開発し、研究をまとめた。2019年2月までの約1年間、ドローンを使い秋田県大潟村の地上から上空500メートルの二酸化炭素(CO2)濃度データを集めた。成果はスイスの国際学術誌「アトモスフィア」に8月に掲載された。
高精度のCO2観測装置は約3キログラムあり、そのままではドローンへの搭載が難しい。観測装置の電源はドローンの充電池を共用し軽量化。装置に大気を送り込むポンプなども軽くした。
航空機を使った観測は5時間チャーターするだけで約500万円かかる。今回のドローンは約230万円で導入した。井上准教授は「さらに観測高度を上げて別の温暖化ガスであるメタンも含めて調査したい。温暖化の発生要因の解明や予測につなげたい」と話す。