経済減速も協調乏しく G20財務相会議
【ワシントン=小太刀久雄】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が17日夜(日本時間18日朝)に開幕し、世界経済の動向について議論した。2019年の成長率は10年ぶりの低水準になる見通しだが、各国が協調して経済成長を維持するとの意欲は乏しい。各国が自国第一主義に傾いており、G20の存在意義を問われかねない状況だ。
会議では各国の財務相や中銀総裁から経済の下振れリスクが多いとの言及が相次いだ。麻生太郎財務相は初日の討議後の記者会見で「一連の騒ぎを金融だけで乗り切れるほど簡単なものではない」と述べた。各国の財政出動の協調には「ただちにやる話が出ているわけではない」と述べるにとどめた。
英国と欧州連合(EU)は離脱条件の修正で17日に合意したが、英議会が承認するか不透明だ。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は17日、「もし合意なき離脱になれば英国経済を3.5~5%押し下げる」と警鐘を鳴らした。
IMFは19年の世界経済見通しを7月時点より0.2ポイント低い3.0%に下方修正した。貿易摩擦が主因の一つで、米中は11日までに部分合意したが、これまで双方が引き上げた関税はそのままだ。米国はEUによる航空機への補助金を不当として、EUから輸入する航空機やワインなどに18日から報復関税を発動した。世界経済の減速の原因が各国の貿易政策という構図で、G20で政策的な協調を模索する雰囲気ではない。
2日目には米フェイスブックが主導するデジタル通貨「リブラ」をめぐる金融システムへの影響を話し合う。17日には先進国で構成する主要7カ国(G7)が、作業部会による最終報告書をまとめた。デジタル通貨の利便性は「重大なリスクに対処しなければ実現できない」と指摘し、設計主体は法的規制や監視の枠組みに従う必要があると結論づけた。