農相「漁船が急にかじ」 政府、北朝鮮賠償要求に抗議
江藤拓農相は15日の参院予算委員会で、日本の水産庁の漁業取り締まり船と北朝鮮漁船の衝突について「こちらが直進している中で、当該の船が急にかじをきって衝突が生じたと認識している」と語った。政府が公開を調整している衝突時の映像を「確認した」とも述べた。
安倍晋三首相は「衝突は排他的経済水域(EEZ)内ではあったが、領海ではなかった。我が国の船舶ではない漁船に対する強制力は行使しなかった」と説明した。2010年に沖縄県・尖閣諸島沖で起きた海上保安庁の船と中国漁船の衝突事件について「我が国の領域で発生したものでまったく異なる」とも強調した。国民民主党の森裕子氏への答弁。
北朝鮮の外務省報道官は今回の衝突に関し、日本が「意図的な行為」で漁船を沈没させたと主張し、日本側に賠償と再発防止策を要求した。菅義偉官房長官は15日の記者会見で「全く受け入れられない」と反論した。日本政府として同日までに北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側に抗議したと明らかにした。
日本側の説明によると、漁業取り締まり船は北朝鮮の漁船に対し、日本のEEZから退去するよう警告した。その後、漁船は急旋回し取り締まり船に接触して沈没し、海上保安庁などが漁船の乗組員を救助した。
江藤氏は15日の参院予算委で「とにかく人命を守ることを優先するよう指示した」と説明した。「今回漁労していると確認できなかったが、それに準ずる行為だと認定して放水活動を行った」とも述べた。「EEZで違法に捕っていると確定的に確認された場合には拿捕(だほ)することになっている」とも語った。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。