韓国法相が辞任 親族の不正疑惑捜査で 文政権に打撃
【ソウル=細川幸太郎】韓国の曺国(チョ・グク)法相は14日午後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に辞表を提出し、受理された。親族の疑惑について検察が捜査を進めているためで「これ以上、私の家族のことで大統領と政府に負担をかけてはいけないと判断した」と述べた。曺氏が就任から1カ月余りで辞任に追い込まれたことで、疑惑が相次ぐ中で法相任命を強行した文大統領の求心力が低下するのは必至だ。
韓国法相辞任、「鉄板支持」層の離反が引き金に
曺氏は声明文で政権が公約としてきた検察改革について「私はたき付け役にすぎず、私の役目は終わった」と言及した。曺氏は14日午前に特捜部の縮小などの検察改革案を発表していた。
曺氏の辞任発表を受けて文大統領は「韓国社会は産みの苦しみを経験した。国民の対立を招いた点は非常に申し訳ない」と謝罪した。保守系野党「自由韓国党」の黄教安(ファン・ギョアン)代表は「法相辞任は時既に遅しだ」と批判した。
曺氏を巡っては、娘の大学院の不正入学や私募ファンドの不透明な運用などで親族が相次いで起訴・逮捕されている。曺氏は記者会見で「最後の瞬間まで検察改革にまい進する」と強調していたが、妻など親族に対する捜査の進展とともに曺氏に対する世論の反発は広がっていた。
調査会社リアルメーターが14日発表した世論調査では、曺法相の辞任を求める声が55.9%で、維持を求める声(40.5%)を大きく上回った。文大統領への支持率も41.4%と10月第1週に比べて3ポイント下落。不支持率は3.8ポイント増え、56.1%に達していた。
政権側はさらなる支持率の低下を防ぐために、曺氏の辞任は避けられないと判断したとみられる。大統領府関係者によると、曺氏は13日午後に(起訴された妻など)家族を守るために辞任する考えを関係者に伝えたという。
9月に多くの疑惑を抱えた曺氏の任命をあえて強行した文氏は、強大な捜査権を持つ検察組織の改革を通じて世論の支持を回復できると見込んでいた。自らの最側近で将来の大統領候補と目されてきた曺氏の失脚は文氏にとって大きな打撃で、今後の政権運営への影響も避けられない。