台風19号、死者56人に 7県の37河川が決壊
12日夜から13日未明にかけて東日本を縦断した台風19号の記録的大雨の影響で河川の氾濫や土砂崩れなどの被害が相次ぎ、15日までに11県で死者56人、行方不明者16人となっている。被害は東日本の広範囲にわたり、被災地では警察や消防、自衛隊が取り残された人の救助や行方不明者の捜索を続けた。
・首相、台風19号の激甚災害指定を検討
・宅配・携帯電話、サービス一部停止続く
・台風19号の被災地で救助続く 浸水深く、ポンプで排水
・北陸新幹線、補修に長期間必要か 10編成が浸水
・日降水量の国内最高記録 台風19号、神奈川県箱根町で
・巨大台風、「堤防神話」崩す 決壊が多発
・堤防決壊や土砂崩れ 写真で見る台風19号の爪痕
・北陸新幹線の車両浸水、全編成の3分の1 被害把握難しく
断水や停電も多発し、生活への影響は長期化する見通しだ。
各地の死者数は、福島18人▽神奈川12人▽宮城9人▽栃木4人▽群馬4人▽岩手2人▽埼玉2人▽茨城1人▽千葉1人▽長野2人▽静岡1人。
国土交通省によると、台風19号の影響で決壊した堤防は長野市の千曲川など7県の37河川52カ所に上った。これまで6県の21河川24カ所と説明していたが、その後の調査で増加。福島県内の阿武隈川水系の河川や新潟県内の矢代川などで決壊を新たに確認した。
千曲川の堤防が決壊し大きな被害が出ている長野市ではJR東日本の「長野新幹線車両センター」が浸水し、北陸新幹線の車両30編成のうち3分の1に当たる10編成120両が水に漬かった。
国土地理院によると、センター付近の浸水被害は最大で深さ約4.3メートルに達していたとみられる。北陸新幹線は本数を減らして東京―長野間で折り返し運転をしているが、東京―金沢間の全線の運転再開までは時間がかかる見通しという。
国交省などによると、住宅の床上浸水が1975棟、床下浸水は1729棟に達した。土砂崩れなども多発。同省のまとめでは土砂災害は19都県で計140件に上った。ただ立ち入りできていない場所もあり、被害の全容は分かっていない。
一部の河川は水位が高い状態が続く。関東や東北では今後の降雨による二次被害の恐れがあり、慎重な救助、復旧の作業が行われた。
浄水場が浸水したり水道管が破裂したりして広範囲で断水が継続。厚生労働省によると14日午後5時現在、13都県で約13万8千戸に上った。
福島県いわき市で約4万5千戸、同県相馬市などで約2万3千戸、茨城県常陸大宮市で約1万5千戸、静岡県熱海市などで約9千4百戸。病院や障害者施設なども含まれ、復旧に時間がかかる地域もあるという。厚労省はライフライン確保のため被災者支援チームを立ち上げ、断水解消を急いでいる。
停電は徐々に解消しているが、東京電力パワーグリッド管内では9月の台風15号で被害が長期化した千葉県を中心に約2万4千戸、中部電力管内では河川が氾濫した長野県で約1万6千戸、東北電力管内では約2千戸となっている。
東電パワーグリッドによると16日までに停電の9割が復旧する見通しだ。ただ千葉県では今回も倒木の撤去のため、市原市や鋸南町などの一部の復旧は20日ごろまでかかる見通しという。