リブラ参画、米イーベイやビザが見送り 発行に遅れも
【シリコンバレー=白石武志】米ネット通販大手のイーベイや米決済サービス大手のビザは11日、米フェイスブックが主導するデジタル通貨「リブラ」の発行団体への加盟を見送ると明らかにした。米メディアは米決済大手のマスターカードも参画を見送ると報じた。2020年とされてきた発行開始の時期には不透明感が強まってきた。
リブラを発行・管理するリブラ協会は14日にスイスのジュネーブで設立総会を開く予定だ。6月の構想表明時点では決済やネットサービスの有力企業を中心に28の企業・団体が設立メンバーになるとされた。だが、各国の金融当局が既存の通貨システムへの影響について懸念を表明。米決済サービスのペイパル・ホールディングスやストライプも参画取りやめを表明した。
イーベイは11日の声明で「(リブラの)設立メンバーとして前進しない決定を下した」と明かした。「リブラ協会のビジョンを非常に尊重している」とも記して将来の参画に含みを持たせたが、「現時点ではイーベイの管理された決済体験を顧客に提供することに注力していく」と説明した。
フェイスブックは世界で27億人にのぼる自社のSNS(交流サイト)の利用者に国境を越えた決済手段を提供することなどを目的に6月、リブラ構想を表明した。しかし、各国の金融当局から既存の金融政策に影響するリスクや、資金洗浄の温床となる懸念を指摘する見方が相次いでいた。
最大で8700万人分の個人情報が不正流用されるなどプライバシー問題で失態を重ねたフェイスブックに対し、規制当局の不信感は根強い。一部の米議員はプライバシーや安全保障上の脅威などを理由に、リブラの開発を中断するよう求めている。米下院金融サービス委員会は23日、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)を証人に招いて公聴会を開く予定となっている。