ウクライナ大統領、トランプ氏から「脅迫なし」
【モスクワ=小川知世】ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、キエフで記者会見を開き、トランプ米大統領との7月の電話で、トランプ氏からウクライナに対する軍事支援などを巡る「脅迫はなかった」と述べた。トランプ氏が野党・民主党のバイデン前副大統領に関連する問題を調査するように圧力をかけたとの疑惑を否定した。
タレント出身のゼレンスキー氏が大規模な記者会見を開くのは5月の就任後初めて。フードコートで約10人の記者のグループに順番に質問に応じる異例の形式で、約14時間にわたった。同氏は22日に開かれる天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に参列するため訪日し、安倍晋三首相と会談する予定も明らかにした。
ゼレンスキー氏はトランプ氏との電話の焦点は首脳会談の調整で、軍事支援は協議しなかったと説明した。バイデン氏の息子が幹部を務めた企業に関する捜査で米国と連携する用意はあるが、現時点で捜査共助はしていないとした。「米国の内政に立ち入る気はない」と捜査の独立性を強調し、疑惑から距離を置きたい考えもにじませた。
東部で続く親ロシア派武装勢力との紛争では解決に向けて同国のプーチン大統領との直接会談が不可欠との認識を示した。ロシアなどと7日の実施で合意した兵力の引き離しは開始がずれ込み、ゼレンスキー氏の対ロ政策に抗議する集会も国内で起きている。同氏は「領土は渡さない」と釈明し、仏独ロ首脳との和平協議が11月中に開かれるとの見通しを示した。