体操団体総合 若き日本男子、成長示した「銅」
【シュツットガルト(ドイツ)=本池英人】体操の世界選手権で団体総合金メダルを目指した日本男子は6種目合計258.159点で2年連続の3位となった。旧ソ連時代以来28年ぶりの優勝を果たしたロシアとの差は約3.5点、最後にミスが出て2位に終わった中国とは約2.5点。来年の東京五輪に向けて2強の背中はまだ遠いが、視界には捉えつつある。
同じ3位でも1年前とは中身が違うと水鳥寿思強化本部長は強調する。「かなり手応えは感じた。去年は『ここまで差があるか』と痛感したが、そこから成長できた」
春の代表メンバー決定以降、全員が技の難度を急ピッチで上げる作業に取り組んだ結果、決勝のDスコア(演技価値点)はロシア、中国とほぼ互角。総得点も昨年の中国の優勝スコアを上回った。
全種目にただ一人出場して日本の支柱となった萱和磨(セントラルスポーツ)は「やってきたことは間違っていない。ちょっとは差が縮まった」と実感する。大会直前の谷川航(同)のケガがなければ、もう少し点の上積みもできただろう。初代表で国際審判から高評価を受け、ハイスコアを連発した18歳の橋本大輝(千葉・市船橋高)という"発見"もあった。
ただし、萱が「ちょっとは」と付け加える通り、成長したのは日本だけではない。ロシアはダラロヤン、ナゴルニーの二枚看板で復権を果たし、中国も軽く16点台を出すスペシャリストが力を発揮。いずれもダイナミックな技の中にしっかり両脚をそろえる繊細さを同居させ、技の出来栄えを示すEスコアで日本の先を行く。
その差を来年までにどう埋めるのか。水鳥本部長は内村航平(リンガーハット)、白井健三(日体大大学院)、そして高校2年の北園丈琉(大阪・清風高)の名前を挙げて「まだまだ他の選手もいる。すごく希望は感じる」と前向きだ。
大きな自信と課題を手にした若き日本代表に実績組が割って入るのか。あるいはさらに若い力が台頭してくるのか。今回の世界選手権より1人少ない4人の団体枠を巡る激しい競争の中でさらなる進化を図るほかない。