ノーベル平和賞 予想トップは16歳グレタさん
今年のノーベル平和賞が日本時間の11日夜、発表される。英国のブックメーカー(賭け屋)では地球温暖化防止を訴える「学校ストライキ」で注目を集めるスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが断トツの人気だ。グレタさんは現在16歳。受賞すれば2014年に17歳で受賞したパキスタンのマララ・ユスフザイさんを抜いて史上最年少となる。
ノルウェーのノーベル平和賞委員会によると、19年の候補者は301人・団体だ。英国の大手ブックメーカー、ウィリアム・ヒルの予想はグレタさんが1位。隣国エリトリアとの国境紛争終結に貢献したエチオピアのアビー首相が2位だった。他のブックメーカーもグレタさんが軒並みトップだ。
「地球温暖化対策のための希望を16歳の女性に託すことになる」(英紙フィナンシャル・タイムズ)と懸念する声もある。9月に開かれた国連の気候行動サミットで、グレタさんが「よくそんなことが言えますね」と怒りに声を震わせ、まともに気候危機に向き合わない各国首脳に訴えたのは記憶に新しい。
ウィリアム・ヒルでは3位にアマゾン先住民のリーダーで熱帯雨林保護を訴えてきたラオーニ・メトゥティレさん、4位にニュージーランド・クライストチャーチのモスクで起きた銃乱射事件への対応が共感を呼んだ同国のアーダーン首相が続く。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も候補に名を連ねる。
平和賞ウオッチャーとして知られるオスロ国際平和研究所のウーダル所長は「若者たちは地域や世界の平和、安全などのために非常に重要なテーマを掲げている」と述べ、有力な候補者に複数の若手活動家を挙げた。
国家分裂状態に陥ったリビアの平和構築を呼びかけるハジャ・シャリーフさんや、ソマリアの平和活動に取り組むイルワド・エルマンさん、14年の香港大規模民主化デモ「雨傘運動」を主導した羅冠聡さんらが1位で並んだ。
過去には07年に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)とゴア元米副大統領の共同受賞の例もある。ウーダル氏はグレタさんの受賞が「唯一起こりうるとすれば(他の候補者との)共同受賞になるだろう」と予想した。
2023年のノーベル賞発表は10月2日(月)の生理学・医学賞からスタート。物理学賞は3日(火)、化学賞は4日(水)、文学賞は5日(木)、平和賞は6日(金)、経済学賞は9日(月)と続きました。