米ツアー「ZOZO」切符争い 10日から最終決戦
編集委員 吉良幸雄
憧れの「ZOZO」切符は、誰が手中にするのか――。10月10日開幕の男子ツアー、ブリヂストン(BS)オープン(千葉・袖ケ浦CC袖ケ浦)で、日本で初めて開催される米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(10月24~27日、千葉・習志野CC、出場78人)に国内ツアーから出場する選手が決まる。世界最高峰の米ツアーらしく、賞金総額975万ドル(約10億4000万円)、優勝賞金175万ドル(約1億8700万円)というビッグマネーがかかる。華やかな舞台に立てるのはBSオープンの上位3人(タイの場合は賞金ランク上位者)と、同大会終了時の賞金ランク7位以内。「最終決戦」へ向けて選手の目の色も違っている。
■タイガー、松山ら米ツアーから60人以上参加
「ZOZO」には、米ツアーから今春のマスターズで11年ぶりのメジャー優勝を遂げたタイガー・ウッズ(米国)やロリー・マキロイ(英国)、アダム・スコット(オーストラリア)、ジャスティン・トーマス(米国)、松山英樹ら60人が参加。小平智と賞金ランクトップの石川遼、香妻陣一朗は主催者推薦(米ツアー選手を含め8人)での出場が決まっている。賞金の50%が日本ツアーの賞金ランクに加算され、その結果が賞金王レースを左右する大きな大会だ。現在、日本勢では賞金ランク2位で昨季賞金王の今平周吾、4位の浅地洋佑の出場がほぼ確実。その一方、6位の星野陸也らの当落線上や、現在は圏外にいる選手は滑り込み出場に必死だ。
26歳の浅地は、5月のダイヤモンド杯でツアー初優勝を飾り、9月のANAオープンでは石川に続き今季2勝目を挙げた。東京・杉並学院高出身で石川の2年後輩。ANAではツアー史上最多の5人によるプレーオフを制し、「ZOZO(出場権は)クリアできたか。いろんな技を吸収したい。一緒に回りたいのはタイガー。彼を見てゴルフを始めたので」と話した。海外メジャー初挑戦となった全英オープンでは予選を突破。それに続く世界の猛者との戦いを心待ちにしている。
「ホストプロ」としてダンロップ・スリクソン福島オープン(6月)で通算2勝目を挙げた星野は、ZOZO出場を今季の目標に掲げている。今季創設されたメルセデス・ベンツ・トータルポイントランキング(平均ストローク、平均パットなど9部門をポイント換算)では2位の今平を抑えてトップに立つ。今季は1勝のほかトップ3にも3回入っているが、賞金ランク6位という位置に危機感を募らせる。
2週前のパナソニックオープン、前週のトップ杯東海クラシックと、続けて23位どまり。「ティーショットの調子が悪い。(アドレスで)構えたときに違和感があり、スイングがちょっとうまくいっていない」と表情を曇らせる。ドライバーショットを思い切り振れずに抑えてばかりだそうで、それがアイアン、アプローチまで響いているという。将来は世界への飛躍を目指す23歳の飛ばし屋は「小学生の頃からタイガーを目標にしてきた。ZOZOまでに調子を上げるのがベスト」。BSオープンは一昨年6位に入っており、好きなコースだ。優勝争いに加わって日本オープン(17~20日、福岡・古賀GC)、ZOZOに臨みたい。
6月の日本ツアー選手権森ビル杯を制し、ツアー初優勝を国内メジャータイトルで飾った堀川未来夢(26)は賞金ランク9位。東海Cでは予選2日間首位をキープ。「今季はもう1勝を」と、最終日は3位でスタートしたが、5オーバーの76と崩れて10位に終わった。BSオープンで賞金を上積みしないとZOZOに出られない。袖ケ浦とのコース相性は良く、2015年は最終日を首位発進し2位。昨年も4位に入っている。ブリヂストンスポーツと用具契約しているだけにホスト大会で燃えるものがある。
■逆転での出場目指す比嘉、時松ら
賞金ランク11位の比嘉一貴(24)はZOZOで東北福祉大の先輩、松山と同じステージに立ちたいと語る。初優勝を果たしたRIZAP・KBCオーガスタ(8月)では、2日目に63の快スコアをマークすると松山から通話アプリのLINEで「ナイス」とメッセージが届き「これで勝てないと、この先はないかと思った」と発奮した。アマ時代から日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチームで活躍し、海外試合経験は豊富だ。堀川と同じくBS契約選手で、逆転出場を目指す。
ツアー3勝の時松隆光(26)は東海Cを2位タイで終え、17位から13位へとランクを上げた。だが7位のチャン・キム(米国)とは1400万円ほどの差があり、BSオープンで3位以内に入らないとZOZO出場は厳しい。ただ、東海Cで不安定なショットに苦しみながらも最終日をボギーなしの3バーディーで回ったのは、粘り強い時松らしい。「悪いなりによくやった」と本人も納得の表情を見せた。BSオープンは一昨年、ツアー2勝目を挙げた験のいい大会。「ゲンちゃん(本名は源蔵)」も「ZOZOをあきらめてはいない」。