表現の不自由展、8日午後に再開 愛知県が発表
愛知県の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で中止された企画展「表現の不自由展・その後」について、芸術祭実行委員会の会長を務める大村秀章・愛知県知事は7日記者会見し、8日午後に再開すると発表した。再開時間は同日午前10時に明らかにする。企画展を巡っては抗議などが殺到し、8月1日の開始から3日間で中止となっていた。
大村知事は「参加作家が全員復帰して、安全面、セキュリティー対策に万全を期して再開したい」と述べた。会期末の14日までの7日間となる見通し。
入場者については、混乱を回避するため現場での抽選方式を導入。1回当たり30人に制限し、事前に作品解説の教育プログラムを受けたうえでガイドとともに回る。貴重品を除く手荷物を預け、金属探知機によるチェックを条件とし、展示作品の動画撮影の禁止やSNS(交流サイト)への拡散防止も求めた。
9日以降については安全面を点検し、毎日、翌日の対応を決めるとしている。
芸術祭と不自由展の両実行委は9月30日、中止前の展示内容を維持したうえで再開することで合意し、協議を開始。事前予約の整理券方式にするなどの条件付きで、10月6日~8日の再開を目指してきた。展示方法や警備面などを巡って協議が難航し、7日までの再開は見送られていた。
また、企画展の出展作家らが直接、芸術祭や表現の自由への意見を電話で聞く「Jアートコールセンター」(電話050・3177・4593)が8日から開設される。14日までで、正午から午後8時まで受け付ける。通話は録音する。
芸術祭の運営費は約12億円で、県が少なくとも約6億円、名古屋市が約2億1千万円を負担している。ただ文化庁は9月下旬、安全な開催が難しいといった状況を申告しなかったとして補助金約7800万円の不交付を発表。名古屋市も「国と歩調をあわせる」とし、未支出の約3400万円の支払いを拒否する構えを見せている。