オンワード、低採算ブランド廃止検討 600店閉鎖へ
オンワードホールディングスの保元道宣社長は4日、2020年2月期の中間決算発表の記者会見で、大幅な店舗閉鎖を進める方針を説明した。主要販路の百貨店が集客に苦戦し、国内外の店舗の約2割となる600店が対象となる見通しだが、具体的な時期などは明かさなかった。今後デジタルシフトを進める方針で、百貨店と一心同体の成長モデルからの転換という難題が待ち受ける。
「店舗網の拡大にかなりのエネルギーを費やしてきたが、これからの時代を見据えて『選択と集中』を進める」。保元社長は強調した。閉鎖の中心は主要事業会社の売上高のうち約7割を占める百貨店内の店舗。オンワードは百貨店の出店拡大とともに成長してきたが「20~30代の若いお客が少ない。百貨店は総じて高齢化という問題がある」(保元社長)。
構造改革に伴い、252億円の特別損失を計上。2020年2月期は連結損益が240億円の赤字(従来予想は55億円の黒字)に転落する見通し。最終赤字への転落は09年2月期以来、11年ぶり。「23区」「組曲」など主要ブランドは残す一方、低採算ブランドの廃止を検討する。該当する店舗の人員は新規事業への配置転換などを進める。
かわりに力を入れるのがネット通販などデジタル領域だ。すでに直営サイト「オンワード・クローゼット」が伸びており、電子商取引(EC)事業の売上高は19年2月期で255億円。22年2月期をめどに500億円と約2倍に伸ばす方針だ。「デジタル技術にたけた外部企業との連携も進める」(保元社長)といい、ECの売上高構成比を現状の14%から30年をめどに5割まで引き上げる。
ただ、廃止するブランドの具体名や期限について聞かれても「まずは取引先と様々な調整を進めながら決める」と繰り返した。日進月歩で技術革新が進むデジタル領域ではスピード感が欠かせないが、百貨店との蜜月関係を武器に成長してきただけに、抜本改革には苦戦する場面も目立つことになりそうだ。