GAFA規制、検討開始 菅氏「国際議論リード」 来年国会に新法を提出へ
政府は4日、首相官邸で巨大IT(情報技術)企業への規制を検討する「デジタル市場競争会議」の初会合を開いた。今後、具体案を詰め、来年の通常国会に巨大IT企業に取引条件の開示を義務づける新法などを提出する。議長の菅義偉官房長官は「各国と連携し国際的な議論をリードしていく」と関係閣僚に早期の制度設計を指示した。
会議には経済産業相や総務相、公正取引委員会委員長らが加わる。民間から人工知能(AI)に詳しい東大大学院の松尾豊教授やソニーコンピュータサイエンス研究所の北野宏明社長ら5人の有識者も参加する。各省庁の縦割りを廃しデジタル市場のルール整備を検討する。
念頭に置くのは米グーグル、アップルなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業だ。市場で強い影響力を持ち、自社に有利な取引条件を押しつけたり、データを寡占したりし、公正な取引をゆがめているとの指摘がある。
会議で巨大IT企業と中小企業の取引関係を透明化する「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)」の詳細をまとめる。IT企業に個人情報の利用を止めさせられるよう、個人情報保護法の改正案も詰める。両法案とも来年の通常国会に提出する。
巨大IT大手による企業買収には新しい審査基準を取り入れて市場の寡占を防ぐ。公正取引委員会が審査指針を改正する。消費者保護に向けた新しい指針も策定する。不当な個人情報の収集に歯止めをかける。
データ資源は21世紀の「新たな石油」といわれる。企業や国の競争力を高め、世界の経済成長の原動力となる。一方、膨大なデータを独占するIT(情報技術)企業への富と力の集中や、人工知能(AI)のデータ分析が人の行動を支配するリスクなど人類が初めて直面する問題も生んだ。
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