アメフト・神戸大、今季充実 関西2強と再戦目指す
アメリカンフットボールの関西学生リーグで昨季5位の神戸大が旋風を巻き起こしている。昨季3位の関西大に11年ぶりに勝利し、関西学院大、立命館大の2強には敗れたものの、上位校との対戦を終え2勝2敗。関学大には金星まであと一歩に迫った。学生王者を決める甲子園ボウルの西日本代表校決定戦は、今季から門戸が広がり関西3位も出場。神戸大はその3位争いの本命に浮上している。
9月29日、王子スタジアム(神戸市灘区)のスタンドがざわめきに包まれた。神戸大が前半を終え、昨季の学生王者、関学大を8-7でリード。タッチラインに並ぶ関学大の選手たちにも、今季初めて味わう焦燥感に似た重い空気が漂っていた。
神戸大は第2クオーター(Q)に先制TDを許したが、すぐに反撃。絶妙なパントで関学大を自陣深くまで後退させた後、守備陣が相手QBをエンドゾーン内でつぶし、セーフティーで2点。さらに攻撃でもスペシャルプレーを繰り出す。QB是沢太朗が左後方のRB森分優人に投げ渡し、森分がWR品田快成に48ヤードのTDパスを決めた。
後半に入って攻勢に転じた関学大がQB奥野耕世のTDパスやFGで計10点を奪い再逆転。だが、神戸大はあきらめない。3回の攻撃で10ヤード進めない場合は通常、相手を後退させるパントを選択をするが、第4Qはパントを蹴らないギャンブルを2度も敢行。1度目は失敗したが、直後に守備陣がインターセプトで攻撃権を取り戻すと、次の攻撃でビッグプレーが出た。
QBサックで後退したものの第4ダウンのギャンブルで是沢からWR岡庭昌志に20ヤードのパスが成功。さらに直後、是沢から品田へ28ヤードのTDパスが決まった。キックも成功し、15-17の2点差に。残り時間は3分42秒。関学大は必死のランで時間を使い、なんとか逃げ切った。
「関学のランを止められれば……」。神戸大の選手の一言にキッカー、小林真大の出番をつくれなかった無念がにじむ。小林は9月7日の関大戦で40ヤード以上のFGを3本決めて勝利に貢献。関学大戦でも勝負を決める3点を狙い、ハーフタイムにFGの練習を繰り返していた。
9月21日の立命大戦は0-34と完敗したが、矢野川源ヘッドコーチは「引きずることなく、関学戦へ1週間準備してきたことを出せた」。持ち味は競り合いでの強さで「1プレーずつ完遂することにたけたチーム」と評する。リーグ戦は残り3試合。最終戦は11月10日の京都大との国立大対決だ。「全部勝てば立命、関学とまた戦える」と3位の先にあるもう一勝負を目標にしている。
(影井幹夫)
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