パイオニア、車内にWi-Fi カーナビ新製品を投入
パイオニアは2日、NTTドコモが提供する車内向けインターネット接続サービスに対応したカーナビ製品を発表した。車内のWi-Fiスポットとしてスマートフォンなどとつなげれば、データ通信量の上限を気にせずに高画質な映像コンテンツなどを楽しめる。スマホの普及で大幅に販売台数増が見込めないなか、付加価値のあるカーナビで需要を喚起する。
11月から発売する「カロッツェリア『サイバーナビ』」は、NTTドコモが提供する「docomo in Car Connect」に対応した初の市販向けのカーナビ。専用のネットワークスティックを接続すると、車の中でWi-Fi環境が整う。スマートフォンやタブレット端末を使うことが多い長距離移動時などでも、データ容量を気にせずインターネットなどの通信サービスを利用できる。
カーナビ本体のWebブラウザ機能から動画投稿サイト「ユーチューブ」の動画の再生もできる。家のブルーレイレコーダーとも連携可能で、家で録画した映像などもスマホを通してカーナビで再生できる。
価格はオープンだが、想定価格は税別15万円前後から。画面のサイズなどにより8タイプ販売する。インターネットの接続料金は利用期間に応じて1日税別500円から1年間で税別1万2000円など設定できる。ドコモの携帯回線がなくても専用アカウント「dアカウント」があれば利用可能。インターネットスティックとセットのタイプを購入すれば、1年間の接続料金が無料になる。
カーナビ市場は3年連続で拡大しているものの、スマホの位置情報アプリを代わりに使う層が増えていることもあって急速な成長はないとの見方が強い。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2018年のカーナビシステムの国内出荷台数は前年比5.5%増の614万4000台だった。
パイオニアは17年3月期に量産を始めたOEM向けカーナビの開発費用が想定以上に膨らんだことで経営難に陥った経験から、新たな収益の柱として市販向け製品の開発に力を入れている。2日に開いた会見でパイオニアの高島直人常務執行役員はサイバーナビについて「自宅のようなストレスフリーなオンライン空間になる」と説明した。
自動運転技術の実用化が進めば、運転以外に費やす時間が長くなり、車室内でのエンターテインメント性がより重視されるようになる。従来のカーナビと一線を画した娯楽性の高い製品を投入することで、新たな収益の柱に育てていく。
(河端里咲)