少女とおじいさん、77歳の年の差超えた友情描く映画
俳優・演出家としてフランス・パリを拠点に活動する笈田ヨシが出演する映画「駅までの道をおしえて」(橋本直樹監督)が10月18日に公開される。愛犬を失った主人公の少女サヤカ(新津ちせ)と、笈田演じる息子を亡くしたフセ老人の2人が、年の差を超えた友情を築いていく様子が見どころだ。
原作は伊集院静の同名の短編小説。サヤカ役はオーディションで決めたが、フセ老人役は橋本監督のたっての希望で笈田にオファーした。「フランスで暮らして半世紀。私を知ってくれて役を依頼してくれたのはうれしかった。撮影前に神経痛に悩まされ満足に歩けない時期もあったので、無事に完成してホッとしている」
映画では犬が重要な役割を担う。「子供の時、犬が好きで庭で飼っていた。ペットというよりもパートナーだった。人と犬の対等な関係を本作は描いていると思う」と話す。
新津はヒット中の「天気の子」の新海誠監督の娘で、映画「3月のライオン」に出演するなど最も注目されている子役。劇中の笈田は新津との共演シーンがほとんどだ。「77歳の年齢差はあるが、子供と接しているという意識はまったくなかった。8歳にもなれば考えることは大人と同じ。新津さんは聡明(そうめい)で美しい女優だった」と振り返る。
大学在学中に入団した文学座、その後移籍した劇団四季でも芽が出なかったが、36歳の時に英国の演出家ピーター・ブルックに誘われ、パリに拠点を移してから演劇人としての人生が変わった。自身が手がけるオペラの公演は2年後まで決まっている。「この年になると先のことなんてわからないが、機会があればまた日本の映像作品にも出たい」と意欲をみせる。