中国5県の景況感 3期連続で悪化、9月短観
日銀が1日発表した中国5県の2019年9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が全産業でプラス11と、前回(19年6月)から4ポイント低下した。悪化は3四半期連続。米中貿易摩擦や中国経済の減速が製造業の指数悪化に響いた。日韓関係の悪化で宿泊サービスなど非製造業でも低下が目立った。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。
製造業は6ポイント低下し、プラス3だった。業種別では自動車がプラス5と19ポイント低下した。中国での販売不振や値引き抑制などを背景に、マツダの世界販売台数が低調だったことも響いたもよう。日銀広島支店の浜田秀夫支店長は「世界市場の変化は激しく、自動車部品メーカーを含めて苦しい局面にある」と話した。
電気機械は23ポイント低下のマイナス30、化学は14ポイント低下のプラス8だった。スマートフォン向けの電子部品や化学製品での苦戦が目立ったようだ。岡山県でリチウムイオン電池関連の部材を手掛けるメーカーの幹部は「中国経済の減速で先々の受注に変調の兆しが出てきている」と話した。
非製造業は3ポイント低下のプラス17だった。天候不順や人件費上昇に伴う採算の悪化で、小売りのDIが8ポイント低下のマイナス9となった。
山陰地方を中心に、日韓関係の悪化に伴う訪日客の減少で宿泊サービスなどもDIが低下。松江支店の花尻哲郎支店長は「韓国人客の減少は運輸・郵便、宿泊・飲食サービスなどに影響が出ている。先行きも悪化を予想している」と話した。
10月からの消費増税に関しては、駆け込みの動きは限定的だったとする向きが多かった。広島支店の浜田支店長は「恩恵はあったが、期待したほどではなかったとする声が多かった」と指摘。その上で、「反動減については慎重に見ていきたい」と話した。
DIが悪化した一方で、19年度の設備投資計画は上向いている。「所得から支出への前向きな循環メカニズムは持続している」(岡山支店の鈴木公一郎支店長)との指摘もあり、景気動向の先行きを過度に悲観する見方は少なかった。
先行きのDIは全産業で9ポイント悪化のプラス2。製造業、非製造業とも悪化を見込んでいる。