農産品の輸出支援へ 政府・与党、日米合意で国内対策
政府・与党は1日、日米貿易交渉が9月に最終合意したのを受け、農業分野などでの国内対策の検討に着手した。政府は国内対策を盛り込んだ「総合的な環太平洋経済連携協定(TPP)等関連政策大綱」について今年秋にも今回の合意を踏まえた内容に改定する。農産品の輸出支援などが軸になる見通しだ。
安倍晋三首相は首相官邸で開いたTPP等総合対策本部で「今回の協定を日本経済のさらなる成長につなげていきたい」と語り、国内対策を検討するよう関係閣僚に指示した。
同本部は大綱改定のための基本方針を決定した。(1)海外展開を進める日本企業や日本産品の新たな市場開拓を促す(2)各協定の効果を最大限いかし、国内産業の競争力を強化する(3)農林水産業の生産基盤を強化するとともに新市場開拓の推進など万全の施策を講ずる――の3つを柱とした。
交渉を担当した茂木敏充外相は1日の閣議後の記者会見で、協定文書への署名について「10月の早い段階でできるのではないか」と述べた。政府・与党は協定案を10月中旬に臨時国会に提出する方針で、12月9日までの会期中の承認をめざす。
政策大綱の改定を踏まえ、年末にまとめる見込みの2019年度補正予算案などに国内対策の費用を反映する見通しだ。
外相らは1日、自民党のTPP等経済協定対策本部(本部長・森山裕国会対策委員長)などの合同会議で合意内容について説明した。森山氏は「農家やそれぞれの産業の皆さんに安心いただけるように対策したい」と述べた。
首相は1日、東京都内で開かれた共同通信主催の会合で講演し「わが国にとって大切なコメを関税削減の対象から完全に除外し、国益にかなう結果となった」と強調。「それでもなお残る農家の不安に対して今後、年末に向けて政策大綱を改定し、しっかりと対策を講じていく。今回の協定を地方の農林水産業のさらなる飛躍につなげていく」と訴えた。
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