住化、飼料添加剤の一部工場停止 増産競争で収益悪化
住友化学は飼料添加物「メチオニン」の一部プラントの稼働を9月末で停止したと発表した。住化のメチオニンの生産能力は1割程度減少するとみられる。メチオニンはメーカー各社の増産によって市況が悪化していた。生産効率の悪い旧式の設備を削減することでシェア拡大路線から収益性重視の事業体制に見直しに入った。
メチオニンは鶏の成長を促す効果があるアミノ酸で、エサに混ぜて使う。住化は愛媛工場(新居浜市)に生産拠点を持つ。2018年10月に約500億円を投じて年産能力10万トンの新プラントを稼働させたばかりで、合計25万トンの能力があった。操業から50年以上を経過し、維持・補修費用がかさむ不採算のプラントを停止して2万トン規模の生産能力が減るもようだ。
住化はプラント停止の背景を「新プラントが順調に稼働したため」としているが、主要因は世界的な生産増による市況悪化だ。住化に続いて最大手の独エボニックなど欧米や中国の大手各社も相次いで増産を打ち出したことからメチオニンの取引価格はピークの14年の半額程度に落ち込んでいる。
住化の稼ぎ頭だった同事業も足元では赤字となっている。新プラント稼働で世界3位集団に躍り出た住化だが、事業の収益は上向かなかった。シェア競争は限界で生産体制の見直しに迫られた格好だ。
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