キセキ、仏遠征初戦で完敗 本番の凱旋門賞に暗雲
日本でも注目度の高い欧州最高峰のレースのひとつ、凱旋門賞(G1、仏・パリロンシャン競馬場、芝2400メートル)が10月6日に行われる。このレースに参戦予定の関西馬、キセキ(牡5、栗東・角居勝彦厩舎)が15日、凱旋門賞と全く同じ舞台で行われた前哨戦、フォワ賞(G2)に出走した。ただ、出走4頭中の3着に敗退。好走が期待された凱旋門賞に向け、暗雲が垂れ込めてきた。
フォワ賞の日本国内での馬券発売はなかったが、キセキは現地で単勝2番人気に支持されていた。強敵は過去にG1で3勝を挙げている1番人気のヴァルトガイスト(牡5、仏)だけ。残る2頭はG1では好走歴のないウェイトゥパリス(牡6、仏)、3年前にG1勝ちがあるが往年の走りは望みづらいシルバーウェーヴ(牡7、仏)という顔ぶれで、キセキにも十分、好走のチャンスはあった。
鞍上(あんじょう)には現地で活躍する世界的な名手、クリストフ・スミヨンを起用。2018年の凱旋門賞でも4着に入ったヴァルトガイスト相手に、どの程度の走りをするかで、凱旋門賞で好走できるかどうかを見通せるレースといえた。
キセキはスタートしてすぐに先頭に立ち、道中は力み気味の走りながらも逃げてレースを引っ張った。2番手のヴァルトガイストがすぐ後ろにいる隊列で最後の直線に向いたが、ゴールまで残り300メートルの地点でヴァルトガイストにかわされた。その後、ウェイトゥパリスにも先を越され、シルバーウェーヴにもわずか頭差にまで迫られた。
今回は6月23日の宝塚記念(G1、2着)以来の実戦で、海外遠征の初戦だったとはいえ、さほど抵抗もできずにあっさりとかわされた印象。内容は良くなかった。レース後、角居調教師は「できれば逃げる馬の後ろで控える形が良かった」と、戦前のプランとは違う競馬になったことを明かした。キセキは持久力タイプで、日本国内では逃げ戦法を取って好走することも多い。ただ、凱旋門賞は逃げ馬が不利とされるレース。本番を見据えて控えたかったが、それができなかった格好だ。
「休養明けだったので次はもっと良くなる」(スミヨン)のは確かだろう。だが、史上初の3連覇を狙うエネイブル(牝5、英)など、凱旋門賞では今回よりもさらに強力なメンバーが顔をそろえる。ヴァルトガイストから3馬身差という着差、加えて格下と思われた馬にもかわされたフォワ賞の結果とレースぶりをみると、凱旋門賞での好走はかなり高いハードルといえそうだ。
(関根慶太郎)