英労働党、「2度目の国民投票」公約に 党大会で方針
【ロンドン=中島裕介】英最大野党の労働党は23日、開催中の党大会で欧州連合(EU)離脱に関する戦略を議論し、次期総選挙で政権を奪った場合に「2度目の国民投票」を実施する方針を決めた。まずは離脱か残留か中立の立場を維持しながら、新たな離脱協定案を結ぶためにEUと交渉する。その後に「労働党政権で合意した離脱案」と「EU残留」のどちらかを選ぶ国民投票を実施する方針だ。
労働党の党大会は21~25日の日程で英南部・ブライトンで開かれている。23日に固まった方針ではコービン党首の意向がそのまま反映された。はじめに政権奪取後3カ月以内にEUと新たな合意を取り付ける。その後、国民投票の結果を見て「離脱」か「残留」か速やかに労働党政権としての方針を固める計画だ。
EU離脱の議論では、アイルランド島の国境問題を巡って英・EUの折衝が難航しており、10月末の離脱実現が見通せなくなっている。英議会はジョンソン首相の合意なき離脱も辞さない方針を阻止するため、野党主導で9月上旬に離脱を3カ月遅らせる法律を成立させた。ただ、10月末の離脱にこだわるジョンソン政権がこの法律に従うかは定かではない。このため労働党はまずは離脱の延期を確実にしてから、内閣不信任案を提出するなどして解散総選挙に持ち込みたい考えだ。
当面の方針は固まったが、労働党も一枚岩ではない。党大会の議論でもEU残留を強く訴える勢力が、党の方針として「残留」を掲げるよう強く主張した。英国内ではEU残留を明言する自由民主党が支持を伸ばしており、党内には焦りが広がっている。最終的にコービン氏の案が認められたとはいえ、火種は残ったままだ。