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ZOZO買収、ヤフーが本当に欲しかったもの

グロービス経営大学院の金子教授が解説

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ZOZOヤフーの子会社になるというニュースに、驚いた方は多いのではないでしょうか。記者会見の席上、ヤフーの社長は業務資本提携によるお互いのメリットを強調しました。しかし、本音はどうなのでしょうか。今回の子会社化は、ヤフーにとってのメリットの方が大きいかもしれません。グロービス経営大学院の金子浩明教授が、ビジネススクールで学ぶフレームワーク「流通チャネル戦略」の観点から考察します。

【解説ポイント】
・アマゾンやZOZOにあってヤフーにないもの
・品ぞろえを増やすだけでなく、正確な在庫状況を把握
・eコマース成功の鍵は物流機能強化

ZOZOは出店者に対して、商品の保管、注文処理、ピッキングや梱包、配送、返品に関するカスタマーサービスを提供しています。こうした一連の機能をフルフィルメントといいます。こうしたサービスを行うには、自社専用の物流施設が不可欠です。アマゾン・ドット・コムやZOZOのような流通チャネルにあって、ヤフーにないものが「フルフィルメントシステム」なのです。

ZOZOは「ZOZOBASE」と呼ばれる自社専用の物流施設を千葉と茨城で複数稼働させており、3000億円を超える取扱高に対応しています。ちなみに、eコマース最大手のアマゾンは全国に16カ所の大型物流拠点(フルフィルメントセンター)と3カ所のデリバリーセンターを有しています。つまり、eコマースで成功するためには、物流機能の強化が欠かせないのです。それはeコマースにおける成功のKSF(Key Success Factor)といってもいいでしょう。

商品の搬入~出荷までの作業効率を向上

実店舗と比べてeコマースの弱点のひとつは、すぐに商品が手に入らないことです。だからこそ、即納体制を整えることが重要になります。それを実現させる上で、3つのポイントがあります。

1つ目は、大消費地の近郊に専用の物流拠点を構えることです。

2つ目は、物流拠点に多くの商品を保管することで、在庫直行率(自社の倉庫で保有する在庫から顧客に商品を配送できる確率)を高めることです。特にアパレル商品の場合は流行性・季節性があるので、人気商品の需要予測を行い、人気商品の欠品をなるべく防ぐことが重要です。

3つ目は物流拠点における注文処理から商品の搬入、移動、棚分け、棚卸し、梱包、検品、出荷までの作業効率を高めることです。アパレル製品はサイズや色、形の組み合わせが多様なので、SKU(受発注・在庫管理を行うときの最小単位)が膨大になります。こうした作業をミスなく効率的に行うには、ピッキングロボットなどへの投資も必要になります。

一方、実店舗に比べてeコマースの強みは、豊富な品ぞろえです。店舗の物理的な制約がない分、多くの商品をショッピングサイトに掲載できます。その際、ユーザーに正しい在庫情報を伝えることが必要です。在庫情報の反映が不正確だと、顧客は離れていきます。例えば、注文した後に欠品が発覚するケースなどです。こうしたことを防ぐためには、情報システムへの投資が必要になります。

つまり、アマゾンやZOZOがユーザーの支持を得ている最大の理由は、情報システムを含めた物流機能を強化し続けたことによって、出店者に対して質の高いフルフィルメントサービスを提供しているからだといえます。

なお、こうした能力は一朝一夕に獲得できるものではありません。現場での経験を通じて人々が学習することで、独自のノウハウが蓄積していきます。例えば、需要や納品に関する予測の精度は、経験を通じて高まるはずです。また、現場のオペレーションの改善も進むでしょう。それは装置の開発にも生かされます。

ZOZOの模倣困難性は、ブランドや使いやすいユーザーインターフェース、多くの会員数や出店社数よりもむしろ、フルフィルメントを支える物流機能にあるのです。言い換えると、高度な物流能力があるからユーザーや出店者がZOZOを利用するようになり、出店者が増えればユーザーの利便性が増し、ユーザーが集まれば出店者も増えるという好循環が実現できていたのです。そうなると、後発のプレーヤーは簡単に追いつけません。

PayPayモールで物流網活用も

では、ヤフーは物流拠点の強化をしていなかったのでしょうか。実際のところ、ヤフーも物流機能を有していないわけではありません。2012年には事務用品通販大手のアスクルの筆頭株主となり、2015年に連結子会社化しています。アスクルは全国に9カ所の自社物流センターを有しており、ヤフーのフルフィルメントサービス(Yahoo!ロジスティクス)を請け負っています。

しかし、現在では新規の受け付けはしていません。何らかの理由で、フルフィルメントサービスの拡大を断念したようです。アスクルやZOZO、アマゾンが自社で物流機能を強化してきたのに対し、ヤフーは物流企業を有した企業を傘下に収めることで、自社の物流機能を強化する道を選んでいるのです。つまり、ヤフーによるアスクルやZOZOの買収は、eコマースで扱っている商品ラインを増やすだけでなく、自社の弱点である物流機能を強化する狙いがあったのです。

ちなみにZOZOの物流拠点のキャパシティーは2020年には現在の2倍になる予定です。そのため、ヤフー!ショッピングやPayPayモール(2019年秋リリース予定)の出店者にZOZOの物流機能を利用してもらうことも可能になります。PayPayモールはプレミアムなショッピングモールという位置づけで、ここにZOZOタウンも出店する見込みです。このモールに出店するにはヤフーが定める出店基準を満たすことが必要で、出店者の物流体制が脆弱な場合は、ZOZOの物流機能の利用を推奨される可能性があります。

ZOZOのメリットは限定的か

ZOZOのメリットとして考えられるのは、ソフトバンク・ヤフー経済圏の顧客が獲得しやすくなることです。具体的には、携帯キャリアのソフトバンクまたはYモバイルの契約者、Yahoo!プレミアム会員、電子決済サービスPayPayの利用者です。

一方で、さほど効果が期待できない可能性もあります。その最大の理由は、ヤフーが手掛ける他のコンシューマー向けサイトとは出店者が違うことです。ヤフーや楽天のECサイトにおける主な出店者は小売店ですが、ZOZOの出店者はブランドメーカーです。こうしたメーカーは自ら実店舗を運営しているので、ZOZOのようなECサイトが独自に値引きを行うことを嫌がります。なぜなら、実店舗における営業を圧迫するからです。

ZOZOは2018年12月から年額3000円または月額500円でZOZOTOWNの商品が10%の割引となるサービス「ZOZOARIGATO」を展開しましたが、出店者の反発により40店以上が撤退あるいは販売中止となった結果、開始から半年足らずで中止となりました。

もし、PayPayモールで割引キャンペーンやポイント還元を乱発すれば、ZOZOARIGATOの時と同じように、出店者の離反を招く恐れがあります。とはいえ、ポイントや割引キャンペーンがなければ、ソフトバンク・ヤフー経済圏のユーザーにとってZOZOで購入するメリットは乏しいでしょう。

こうした状況の中でZOZOがどう自社の成長戦略を描いていくのか、これからも目が離せません。

流通チャネル戦略」についてもっと知りたい方はこちら

https://hodai.globis.co.jp/courses/1239a919(「グロービス学び放題」のサイトに飛びます)

かねこ・ひろあき
グロービス経営大学院教授。東京理科大院修了。リンクアンドモチベーションを経て05年グロービスに入社。コンサルティング部門を経て、12年より現職。担当領域は技術経営、オペレーション戦略、経営戦略。現在、科学技術振興機構(JST)プログラムマネージャー育成・活躍推進プログラム 事業推進委員、信州大学 学術研究・産学官連携推進機構 信州OPERAアドバイザーを兼務。

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