漫画家・浦沢直樹さん、「伊勢湾台風」描く理由
デビューから数々のヒット作を手掛けてきた漫画家、浦沢直樹さん(59)。週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)で連載中の「あさドラ!」は物語の冒頭の舞台として、伊勢湾台風に見舞われた1959年の名古屋を選んだ。26日で上陸から60年の節目を迎えるのを前に、作品に込めた思いを聞いた。
――伊勢湾台風を取り上げたのはなぜですか。
「作中で1964年の東京五輪を描くにあたり、起点をどこにするかを考えた。5年くらいの幅で何か社会的に大きな出来事がないかと思っていたところ、伊勢湾台風に行き着いた」
――東京に生まれ、伊勢湾台風にどんなイメージを持っていましたか。
「自分が生まれる数カ月前の出来事。直接は知らないが、大人たちからは『災害の代名詞』として聞かされていた。今で言う東日本大震災のような」
「当時の報道写真を参考に描いた。情報ツールがラジオくらいで、得られる情報が限られる世界を想像しながら。