JR東、駅自販機で飲料サブスク 月2480円で
JR東日本グループは10月から自動販売機を使った飲料のサブスクリプション(定額制)サービスを始める。利用者はスマートフォンアプリで登録し、毎日配信されるQRコードを自販機にかざして1日に1回飲料を受け取る。料金は月2480円。JR東は同月から電子マネー「Suica(スイカ)」のポイント還元制度を拡充する。自販機での飲料販売にも事実上の値引きを導入し、利用者の一層の囲い込みにつなげる。
傘下のJR東日本ウォータービジネス(東京・品川)が10月1日からサブスクサービス「エブリーパス」を始める。JR東が運営する駅に設置している約400台の最新型自販機「イノベーション自販機」で利用できる。
第1弾として500人限定で9月16日まで利用者を募集する。交通系電子マネーのIDと連携してポイントをためられるスマホアプリ「アキュアパス」から応募する。まず同IDで「アキュアメンバーズ」に会員登録する。アキュアパスにアキュアメンバーズの会員情報を連携させると応募できる。
利用者には毎日QRコードが配信される。当日に限り有効で、1回だけ使える。料金プランは2種類あり、1カ月間のお試しプランでは月980円で同社ブランドの商品のみを受け取れる。登録から1カ月たつと、自動で月2480円のプランに移行。イノベーション自販機で扱う全商品が受け取り可能になる。
料金はアプリに登録したクレジットカードで決済する。1本150円の飲料を毎日受け取ると仮定すると、月額で4500円相当になる。
申し込みが定員を超えた場合は抽選で利用者を決める。抽選結果は9月下旬にメールで伝える。申込数や利用状況を検証した上で、サービスを拡充する方針だ。
酒類・飲料業界では、キリンビールが子会社を通じ、東京・銀座の直営店で平日に1杯(250ミリリットル)、クラフトビールを提供している。料金は月2496円。最大17種類のクラフトビールの中から飲みたいものを選べる。
飲食店支援のファビー(東京・新宿)は定額のコーヒー飲み放題サービスを提供している。月3000円で会員になると、店頭でコーヒーを受け取れる。都内の西新宿、飯田橋、銀座にある直営3店舗で対応する。ただ2016年の開始から黒字化には9カ月かかったという。話題性もあり、当初は会員の利用頻度が想定を上回ったためだ。
JR東は10月から、スイカを使って在来線を利用するたびに一定のポイントを付与する。系列店でスイカ払いをした際のポイント還元率も引き上げる。消費増税後の購買意欲を刺激し、顧客の囲い込みも目指す。(企業報道部 平塚達)
[日経産業新聞2019年9月11日付]
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