韓国が日本を提訴、輸出管理の厳格化で、WTO発表
【ジュネーブ=細川倫太郎】世界貿易機関(WTO)は16日、日本の輸出管理の厳格化を不当として韓国が日本を提訴したと発表した。まず2カ国間で協議し、解決できなければ第一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)での審理が始まる。日本が訴える安全保障の正当性が一つの争点だが、結論が出るには時間がかかる可能性がある。
提訴は11日付で、WTOは16日に加盟国に通知した。日本政府は7月に韓国向けの半導体材料などの輸出管理を厳しくする措置を導入した。茂木敏充外相は16日、外務省内で記者団に「手続きに従って粛々と対応したい」と述べた。
韓国は元徴用工問題での報復で「政治的動機による差別的な措置」と訴え、加盟国間での貿易の差別を禁じる「最恵国待遇」のWTO原則に反するとする。
一方、日本は安全保障上の措置と反論している。WTOには安保を理由に貿易制限ができる例外規定がある。ただWTOは安保についての紛争案件を裁いたケースがほとんどなく、審理は難航する可能性がある。
パネルの結論が出た後にどちらかが判決内容を不服として上訴すれば、最終審にあたる「上級委員会」での審理が始まる。一般的に提訴から最終判決までに1~2年以上かかる。