GM工場で12年ぶりスト 雇用・待遇巡り交渉決裂
【ニューヨーク=中山修志】全米自動車労組(UAW)は15日、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の全工場で同日深夜から全面ストライキに入ると発表した。医療費の負担軽減や雇用確保を巡り、会社との交渉が決裂した。GM工場でのストは12年ぶり。労使は16日以降も協議を続けるが、ストが長期化すればGMの生産計画が狂い、部品メーカーなどにも影響が及ぶ。
UAWに加盟するGMの従業員は4万6000人で、北米の31工場が対象となる。UAW幹部のテリー・ディッテス氏は15日午前にミシガン州デトロイトで記者会見し、「組合員の雇用と家族を守るために立ち上がる」と述べた。
UAWと米自動車大手3社は4年に1度の交渉で労働協約を改定している。フォード・モーターとフィアット・クライスラー・オートモービルズの2社は協約の延長に労使が合意した。GMは労働協約の期限が切れる14日深夜までに協議がまとまらず、15日午前の労使協議でも合意に至らなかった。
GMは2018年11月に北米5工場の閉鎖を決定し、数千人を削減する方針を明らかにした。UAWはこの決定に反発し、GMに計画撤回を求めてきた。今回の交渉でも雇用補償をテーマに協議を重ねたが、グローバルで生産体制の見直しを急ぐ会社側との隔たりは大きく、着地点は見えていない。
GMは同日、「賃金や福利厚生の改善を提案し、誠意をもって交渉してきた。UAWがストを選択したことは残念だ」と声明を出した。
07年の前回ストでは従業員7万3000人が対象となり、80の生産拠点が2日にわたって17時間停止した。UAWはスト中の従業員の賃金を補償するため7億ドル(約750億円)以上の資金を確保しているが、ストが長引けば自動車のサプライチェーン(供給網)全体への影響は大きい。