ゆうちょ銀、高齢顧客23.5万人調査 不適切投信1.9万件受け
ゆうちょ銀行は13日、70歳以上の高齢者への投資信託の販売で、社内ルール違反が2018年度だけで1万9591件見つかったと発表した。事前に理解度の確認を怠るといった違反が直営店と委託先の郵便局で発生していた。すべての高齢顧客23万5千人に対する調査を実施し、元本割れのリスクなどを認識したうえで契約したかどうかを調べる。
ゆうちょ銀の西森正広常務執行役は同日の記者会見で「深くおわび申し上げる」と陳謝した。
同社が高齢者に投資信託を売る際の社内ルールでは、認知症でないことや金融商品への理解力について、勧誘時と契約時の2回、管理職が確認する。ある店舗で顧客からの苦情をきっかけに勧誘時の確認をしていないことが判明し、全店を調べた。
直営店は2018年4月~19年2月、郵便局は18年度1年間の契約について営業員らから聞き取った。その結果、233店の直営店の9割にあたる213店で勧誘時の確認を怠っていた。委託先の1540局の郵便局のうち187局でも守っていなかった。違反は直営店が1万7700件、郵便局は1891件。
同社は社内ルールに反する手続きで契約した高齢顧客1万5千人に対し、手紙と電話で確認を進めている。今後、投信を売ったほかのすべての高齢顧客22万人も手紙などで調査する。元本割れのリスクを知らずに結んだ契約で損失が出た場合は補填の可能性もある。
ルール違反が多発した原因として、ゆうちょ銀は本社の指導の不徹底による営業員の認識不足や、社内マニュアルの問題などを挙げた。
同じ日本郵政グループのかんぽ生命保険の不適切販売では過剰な営業ノルマが問題となっているが、ゆうちょ銀の担当者は「ノルマは原因ではない」と否定した。ただ「現場から『営業が大変だ』という声も一部出ている」とも述べた。
ゆうちょ銀は国債の運用収益が超低金利で落ち込み、投信を新たな柱と位置づけていた。ただ、かんぽの不適切販売問題の影響もあり最近は契約件数が低迷している。