日本製バルブ関税、韓国に勝訴 WTO最終判決
【ジュネーブ=細川倫太郎】世界貿易機関(WTO)は10日、日本製の産業用空気圧バルブに対する韓国の輸入関税の引き上げが不当として日本が提訴していた問題で、日本の主張を認める最終判決を下した。韓国の価格分析や情報公開が不十分でWTOの協定違反にあたると判断し、是正を求めた。WTOは二審制で日本の勝訴が確定した。
WTOの最終審にあたる上級委員会は、高機能な日本製品は価格面で韓国製品と競合しないとする日本の主張を認めた。経済産業省は11日、「日本企業への不当な措置が継続されないよう韓国に速やかな是正を求める」とする世耕弘成経産相の談話を公表した。
空気圧バルブは電気で圧縮した空気の流れを制御する機器で、半導体の製造設備などで使われる。韓国は日本が不当に安く輸出しているとして反ダンピング(不当廉売)措置を実施し、2015年8月から約12~23%の追加関税を適用した。
日本は「韓国製品とは価格や機能が全く違う」と主張し、16年3月にWTOに提訴した。18年4月の第一審判決は日本の訴えをおおむね認めた。だが一部の主張は受け入れられず、日韓双方が判決を不服として上級委員会に上訴していた。
今後、韓国は是正のための履行期間が与えられ、仮に撤廃しなければ日本が対抗措置を発動できる。日本の対韓輸出管理の厳格化や元徴用工問題で日韓が激しく対立するなか、今回の判決は両国の関係にさらに影を落とす可能性がある。
日韓の貿易紛争では今年4月、WTOは韓国による福島など8県の水産物の禁輸措置を事実上容認する判決を下し、日本が逆転敗訴していた。