味の素、日本ケロッグとのシリアル販売契約解消へ
味の素は6日、日本ケロッグ(東京・港)とのシリアル商品の独占販売契約を2020年3月末で解消すると発表した。1962年の日本ケロッグ設立時から味の素はシリアルの受注や物流などを請け負ってきた。日本ケロッグが契約解消を申し入れており、今後は新たな販売網の構築を進める方針だ。
シリアル市場は1990年代までは日本ケロッグが存在感を示し、子供の朝食用コーンフレーク「コーンフロスティ」を強みとしていた。2010年代にシリアルの一種で穀物やドライフルーツを加えたグラノーラが人気になると、カルビーや日清食品ホールディングス傘下の日清シスコが参入し競争が激化した。
日本スナック・シリアルフーズ協会(東京・中央)によると、18年のシリアル市場は551億円と10年前と比べて2.2倍になった。カルビーの「フルグラ」がヒットし、同社のシェアは現在4割弱とみられる。
日本ケロッグはイチゴなどが入った甘いコーンフレークが強みだが、少子化で販売が苦戦。大手スーパーのプライベートブランド(PB)にも押され、シェアは3位になっている。米ケロッグは世界で成長戦略を描くなか、人口減が進む日本市場よりもアジアの新興国を重視したとみられる。
一方、味の素はアミノ酸を軸にした食品やバイオ分野に経営資源を集中している。12年にはカルピスをアサヒグループホールディングスに売却した。日本ケロッグとの契約も以前ほどの重要性が薄れていた。契約解消の影響は軽微だという。
食品業界では外資との提携関係を見直す動きが相次いでいる。16年に山崎製パン子会社のヤマザキ・ナビスコが「ナビスコ」ブランドを保有する米モンデリーズ・インターナショナルと結ぶライセンス契約を終了。18年には森永製菓も米ウイダー社とのライセンス契約を見直し、ゼリー商品「inゼリー」で「ウイダー」のロゴを外した。少子化でこうした動きが広がる可能性がある。