ヤクルト・村上、90打点&32号 高卒2年内で最多
ヤクルト・村上がブンとバットを振るたびに、プロ野球史の過去のページがパラパラとめくられていった。
五回一、二塁間を抜き1打点を加えて87打点目。高卒2年目までの選手としては1953年、中西太(西鉄=現西武)の86打点を抜く、新記録となった。
さらに六回。初球をとらえて左翼越えに逆転3ラン。今季32号は86年の清原和博(西武)の31本を抜き、高卒2年目までの最高記録となった。打点も90まで伸ばした。
「印象にない。(ユーチューブなどの)画像で見るだけで」。中西はもちろん、清原も19歳の村上にとって、遠い存在でしかないようだ。
記録がぴんとこないのは目の前の試合にしか集中していないから、ということもある。本塁打の打席は「それまで打てなかったので、何とかしたかった」との思いだけだった。直前の打席では適時打を放ったが、最初の2打席はいずれも走者を置いて三振。その悔しさをぶつけた打席だった。
それにしても、パワーだけではなく、技術と年季がモノをいうはずのこの世界で、なぜここまで活躍できているのか。
村上は自分のフォームはこれだ、というものを持ち、練習ではまず自分流を通しているらしい。すべての結果を自分で受け止める覚悟があるからできること。カウント3-0から打った第3打席の適時打も、その覚悟の表れだった。
いかにもプロ向きの踏ん切りが、若さを補って余りある力を生み出している様子がうかがえる。(篠山正幸)