10~20代を「タグる」 影響力強まるSNS
民主主義の現場(4)
「従来の野党のイメージに飽き足らない有権者を引き付けることになった」。6日、立憲民主党の全国幹事長会議で示す参院選総括の一文だ。有権者を引き付けた野党として、れいわ新選組を特に意識している。
れ新は山本太郎氏が4月に立ち上げ、ネットを通じて約3万3千人から計4億円の寄付金を集めた。街頭演説の告知はソーシャル・ネットワーキングサービス(SNS)だ。「自由に広めてください」と演説の写真や動画の拡散を呼びかけた。選挙後も活動は続き「次期衆院選に向けて態勢をつくっていかねばならない」と訴える。
立民の選挙対策委員長を務める長妻昭代表代行は「年齢層を問わず熱量が伝わった。SNSの力もあった」と分析する。
NTTデータの解析サービス「なずきのおと」で参院選翌日まで1カ月のツイッター投稿を調べると「選挙」に関する投稿は3000万を超えた。同じころ話題になった「韓国」や「吉本」にかかわるツイートと比べても1桁違う。
政党との相性診断を実施するコーナーなどを設けたヤフージャパンの参院選特設サイトには1700万の端末からアクセスがあった。憲法や消費税など10の問いに答えると政党とのマッチ率を算出した。「なにがなんやらって時には、ひとつの判断材料になるかと!」。タレントのブルゾンちえみさんらがツイッターで紹介し、広まった。
SNSを特に利用しているのが10~20代だ。総務省が2017年11月に実施した調査によると、20代は1日のうち平均で61分、10代は54分をSNSに割いていた。30代は26分、40代は25分、60代はわずか4分だった。
参院選福島選挙区で当選した自民党の森雅子氏はSNSを10~20代へのチャネルに選んだ。政治家のネット戦略を支えるスタートアップ企業「POTETO Media」(東京都新宿区)の支援を受け、インスタグラムのストーリー機能を使って浸透を図った。古井康介代表は「同世代の自分たちからみてどのように見えるかを考え、コンテンツをつくった」と明かす。
50%を下回る低投票率を記録した先の参院選で18~19歳は31.33%と全年代の平均よりも17ポイント低かった。しかし、ツイッターやヤフーのサイトの好況ぶりがあらわすように、10~20代の政治への関心は低くない。
若者の政治離れといわれるが、いまの若者が政治と近かったことは一度もない。政治の側が距離を縮めるしかない。ハッシュタグを付けてツイッターへの投稿を続ける自民党の甘利明選対委員長はこう語る。「若者には直接アクセスするしかない。ググるではなくて、タグるだ」
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